JP1の最新バージョン「V11.5」登場 機械学習のPoC支援サービスも
日立が、JP1の最新版「JP1 V11.5」をリリース。デジタルビジネス時代を見据えた業務システムの大規模化に対応する機能などを強化。機械学習の活用を支援する関連サービスも加わった。
日立製作所は、統合システム運用管理ソフトウェア「JP1」の最新版である「JP1 V11.5」を11月1日から販売する。
JP1は、業務運用の自動化や稼働監視、IT資産管理、セキュリティ管理など、ITシステムの運用管理の効率化を統合的に支援するソフトウェア製品群。今回、ジョブ管理製品の「JP1/Automatic Job Management System 3(JP1/AJS3)」や、障害発生時の調査や分析を支援する「JP1/Operations Analytics(JP1/OA)」など、JP1の各種機能を強化した。
合わせて、JP1を活用したITサービス運用の継続的な改善を支援する「IT運用最適化サービス」に、機械学習の活用を支援するサービスを追加。2017年11月30日に提供を開始する。
性能向上を図った「JP1/AJS3」、ユーザー支援を強化した「JP1/OA」
JP1/AJS3は今回、業務システムの大規模化に対応する性能向上と、管理対象数の拡張を中心に強化。製品アーキテクチャを改善したことで、「JP1 V11.1」と比べ、最大で約10倍のジョブを実行できるようになった(8多重の場合)。
1台のマネージャホストで管理できる実行エージェント数を1024台から2048台に拡張し、業務運用の集約、統合を可能にしたほか、Web GUIも強化。予定の確認や一時変更の操作にも対応したことで「Web GUIに必要な機能は全てそろえたと考えている」(日立)としている。
JP1/OAについては、システムの可視化機能を強化した。導入が増えている「SAP S/4HANA」やOSSの「Zabbix」に対応したほか、「Amazon Web Services」や「Microsoft Azure」などのクラウドサービスも構成把握対象に加え、可視化できる範囲を拡大した。また、障害発生時には、相関分析によって問題発生箇所と類似性の高いリソースを自動抽出して表示する機能を追加。より迅速な原因の特定と復旧作業につながるという。
このほか、JP1/Navigation Platformとともに、レポート作成機能を強化。各プロセスの作業時間やミス発生率、ITリソースのヒートマップ図といったデータについて、Excelのグラフ作成までを自動化。運用改善やコスト削減へのアクションを取りやすくした。
3カ月から6カ月の期間で、機械学習のPoCを支援
IT運用最適化サービスでは、IT運用への機械学習の導入に関するコンサルテーションから運用改善の実現までの支援サービスを追加した。イベント情報のエスカレーション判定や障害分析の支援、障害予兆の検知といった分野を例に、専門性や属人性の高い作業に対する、機械学習導入を支援する。
企業持っているログデータなどをもとに、データの整理から要件定義、検証環境構築といったPoCを3カ月〜6カ月の期間で支援する。本番稼働後も継続支援のサービスを提供するという。PoC支援の価格は個別見積もりだが、日立製作所によると「大体3カ月で500万円程度のイメージ」だという。
今回、機械学習関連のサービスを追加したが、今後は障害対処の高度化や自動化に向けた開発を進めているとのことで、「今後のバージョンアップでは、AI活用による“運用レス”の実現に向けて、JP1は進化していく」(同社 ITプラットフォーム事業本部 ITマネジメントソリューション開発部 加藤恵理氏)という。
また、V10から従量課金制ライセンスの提供を進めてきたJP1だが、今回のV11.5では、同社が開発している主要製品について、サブスクリプション提供を2017年度内をめどに開始すると発表した。任意のクラウドサービス上などでJP1を活用する場合に、投資コストの平準化が可能になる。
利用価格はJP1/AJS3が27万円からでJP1/OAが36万円から。サービスの提供開始は、いずれも2017年11月30日だ。
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