DevOpsの実践企業は20%、IT部門とビジネス部門との文化の壁に課題も――IDC調査
国内DevOps市場の動向調査によると、DevOpsを実践している企業は20%で、実践検討に前向きな企業も多かった一方、IT部門とビジネス部門との連携や評価指標に課題があることが判明した。
IDC Japanは10月31日、国内企業におけるDevOpsの実践状況に関する調査結果を発表した。
調査によると、DevOpsを実勢している企業は全体の約20%で、内訳は、「IT組織全体で実践している」が6.6%、「一部の部門/プロジェクトで実践している」が10.5%、「試験的に実践している」が2.9%だった。「実践する具体的な計画がある」「実践するかどうかを検討している」「情報収集や勉強をしている」という回答が全体の約44%を占め、DevOpsの実践に向けて動き出している企業も多いことが分かった。
業種別の実践率は、サービス業(運輸、交通、不動産、レンタル、宿泊、娯楽、その他一般サービス)が27.5%で最も高く、次いで、通信とクラウドサービス、コンテンツプロバイダー、IT企業の通信/サービスプロバイダー業(通信、クラウドサービス、インターネットコンテンツプロバイダー、メディア)が22.7%、ソフトウェア/システム開発業(ソフトウェアベンダー、システムインテグレーター)が21.4%となった。
DevOpsを実践する理由は、多い順に「ITライフサイクルの効率化」が34.0%、「ITコストの削減」が31.1%となり、開発から運用までのプロセスとコストの最適化への関心が高いことが伺える。これに、「IT部門とビジネス部門の関係の強化」が29.1%、「開発者の時間とスキルの有効活用」が26.2%と続き、組織と人材活用の改善も動機になっていることが分かった。また、DevOpsを実践している企業の34.0%は、CIOやIT部門のトップが主導していることも明らかになった。
課題としては、「取り組んだ効果に対する評価指標が分かりにくい」「各部門間のコミュニケーションが取れていない」「各部門で文化(役割や作業スタイル、価値感など)が異なり統制がとれない」という回答が上位に挙がった。特に評価指標の分かりにくさはIT企業での回答が多く、DevOpsの成果を評価できる仕組みが整っていないことが分かる。IT企業以外では、コミュニケーションと文化の課題の回答が目立ち、IT部門とビジネス部門とのコミュニケーションに課題があることが判明した。
なお、同レポートは、2017年8月に実施した調査に基づき、国内の企業や組織(官公庁、自治体、非営利組織を含む)515社のDevOpsの実践状況と課題についてまとめたもの。IDC Japanは、DevOpsを実践しようとしている企業のIT部門は、ビジネス部門との連携を強め、DevOpsのプロセスに適合できる組織と人材の整備を進める必要があると指摘。また、DevOpsの実践効果を示すための評価指標を作ることも重要としている。
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