動作音や振動から製造機械の故障を予知――NTT Comらが実証実験へ
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)、太平洋工業、岐阜大学は、AIを活用して、製造機械の動作音や振動の変化から故障を予知するシステムの実証実験を開始する。製造機械の故障を事前に回避することで、稼働率の向上と製品の安定的な生産を見込む。
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)、太平洋工業、岐阜大学は、製造機械の動作音や振動データをAI(人工知能)で解析し、動作音や振動の変化から故障を予知する実証実験を2017年12月18日から開始する。
自動車関連のプレス製品の製造・販売を手掛け、タイヤバルブの国内シェア100%を誇る太平洋工業では、製造機械故障の兆候察知は、これまで経験を積んだ従業員が行ってきた。しかし、全件把握は難しく、故障による突発的な稼働停止時間の損失を減らすことが課題となっていた。
今回の3者共同の実証実験では、NTT Comが有するAI技術を活用した製品の状態監視や化学製品の品質予知に関するノウハウと、岐阜大学が推進するものづくり分野における先端研究を組み合わせ、太平洋工業の工場内で収集した製造機械の動作音や振動データから、状態の変化を検知し、故障を予知する仕組みを検証する。製造機械の故障を事前に回避することで、工場の稼働率を向上させ、製品の安定的な生産を目指す。
具体的には、太平洋工業の工場で製造機械の動作時に、AI技術の一種であるディープラーニングを活用して、NTT Comと太平洋工業が「正常音とのずれを検知し、故障を予知する実証実験」に取り組み、太平洋工業と岐阜大学が「振動の変化を検知し、故障を予知する実証実験」に取り組む。これらの実証実験から、製造機械の故障予知精度に関する検証を行う。
正常音とのずれを検知し、故障を予知する実証実験でNTT Comは、太平洋工業の工場内に取り付けた集音マイクを通じて、製造機械の動作音データをクラウド上に蓄積し、NTT研究所の「ノイズキャンセル技術」と、AIを活用した「音の特徴解析技術」および「正常音とのずれを検知するモデル」を用いて、動作音が正常かどうかを判別するシステムを開発する。AIは、NTTグループのAI関連技術「corevo」を活用する。
また、振動の変化を検知し、故障を予知する実証実験では、太平洋工業の工場内に取り付けた無線式3軸加速度センサーから、製造機械の振動データを収集し、岐阜大学のAIを活用した「振動解析技術」と「振動の変化を検知するモデル」を用いて、振動が正常かどうかを判別するシステムの開発を、太平洋工業と岐阜大学で行う。
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