NTT Comのサービス戦略にみるクラウドビジネスの変化:Weekly Memo(1/2 ページ)
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)のイベントで同社のサービス戦略について話を聞く機会があった。クラウドがテーマと思いきや、重点の取り組みにその言葉はない。どうやらビジネスそのものが変わりつつあるようだ。
「デジタルトランスフォーメーションとは、ICTを活用した“ビジネスプロセス変革”と“ビジネスモデル創出”。私どもはお客さまのデジタルトランスフォーメーションに貢献していきたい」――。NTTコミュニケーションズ(NTT Com)の庄司哲也社長は、同社が10月5〜6日に都内ホテルで開いたプライベートイベント「NTT Communications Forum 2017」の基調講演でこう切り出した。
筆者の記憶では、庄司氏が記者会見やこうしたイベントの講演で、デジタルトランスフォーメーションに対する自らの解釈を述べたうえで注力していく姿勢をこれだけ鮮明に打ち出したのは、今回が初めてのことだ。同氏の講演テーマは「サービス戦略」であり、今、ICT分野の顧客ソリューションで最もホットなキーワードであるデジタルトランスフォーメーションを前面に押し出しても不思議はないが、あらためて、同社がもはやキャリアというよりICTベンダーであることを象徴する発言だった。
庄司氏はデジタルトランスフォーメーションの実現に向けて、今後、次の3つの取り組みに重点を置いていくと語った。同氏の説明を基に、以下に紹介しておこう。
まず、1つ目は「高品質で信頼性が高いインフラストラクチャの追求」である。これは、海底ケーブルやネットワークとデータセンターを一元的に構築、提供できる強みを生かし、これらのインフラの品質や信頼性を徹底的に追求するということだ。ちなみに、データセンターは現在グローバルで140拠点以上、サーバゾーンの面積は述べ40万平方メートルを超え、2017年度内にさらに3カ所新設する予定だという。「今後もお客さまのビジネスをグローバルでサポートできるように拡充していきたい」(庄司氏)との発言が印象的だった。
2つ目は「先進的な技術を用いた柔軟・迅速なサービスの開発」である。ここでいうサービスは、SDx+M、人工知能(AI)、IoT(Internet of Things)の3つを指す。SDx+Mは、Software Defind関連技術と効率的な運用管理を組み合わせて、柔軟なICT環境を快適に利用できるようにしたソリューションだという。(図1)
また、SDx+Mの仕組みによってSAPのERPをベースとした基幹系システム対応のクラウドサービスも用意。これについては2017年2月13日掲載の本コラム「競合が戦々恐々!? NTTグループが基幹クラウドへ本格攻勢」を参照いただきたい。
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