人事システムで行う業務のうち、7割以上がロボットで代替できる:人事×RPAで始める「働き方改革」(4)(1/2 ページ)
本連載では「企業がRPAを効果的に導入するためにはどうすればいいか」というテーマでお話ししてきましたが、今回は人事部門にRPAを導入すると、どういった効果が期待できるのかをお話しします。
2017年も終わりが近づいてきました。“RPA元年”と言われた2016年から2年が過ぎようとしています。これまで、本連載では「企業がRPAを効果的に導入するためにはどうすればいいか」というテーマでお話ししてきましたが、今回はいよいよ、弊社が検証した人事業務へのRPA導入のケーススタディをご紹介します。
人事システムで行う業務のうち、7割以上がロボットで代行可能
本連載の1回目で触れたように、労働人口が急速に減少していくなかで「働き方改革」を推進していくには、まずは、人事部門の生産性を向上し「働き方改革」を推進するための施策検討、実行のための時間を作り出すことが重要です。
しかし、人事部門における業務の内訳を見てみると、定型的な業務に時間を費やしている割合が高いことが多いという課題があります。大量のメール送付やExcelへの転記、集計などの煩雑な手作業に日々追われ、ミスも多くやり直しが発生するため、残業で対応することが多くなります。
もちろん、そういった業務も重要なのは理解できますが、定型業務に時間を取られることで、「働き方改革」を推進するための戦略立案といった、会社の“未来”を考える時間がとれていないのです。
このような人事部門の現状を改善するために、弊社では、RPAテクノロジーズの「BizRobo」を活用し、SAP HCMを利用した人事業務をロボットに代行させるRPAソリューション「HRRobo For SAP HCM」を開発しています。弊社が開発時に実施した業務フローベースでの適用分析では、SAP HCMの人事、給与業務のうち、7割以上の操作や運用がロボットで代行可能という結果が出ています。今回はHRRoboの導入効果の一部をご紹介しましょう。
HRRoboは人間に比べて「20倍以上」の生産性
例えば、給与口座の登録、変更処理。単純な作業のように見えるかもしれませんが、この中にも入力、検索、集計、検証、登録といった煩雑な作業が多く含まれています。これを人間が対応した場合、一般的には1件あたり約10分ほどかかるのですが、HRRoboが行うと1件あたり約30秒でミスなく処理できます。人間と比べて、実に20倍以上の生産性を誇ります。
他にも「通勤交通費の変更処理」でも大きな効果が確認できています。こちらは細かく分けると、
- 変更届の受領
- 記載内容の過不足確認
- 本人への連絡
- 経路検索サイトを使った適正経路の確認
- 定期券金額の確認
- 払い戻し金額の算出
- 新規定期内容の人事システムへの変更登録
といった処理が必要になります。これら一連の作業をHRRoboに代行させたところ、従来人間が7分程度かかっていたところを約1分と、7倍の速さで対応することができるようになることが分かっています。
HRRoboはSAP HCMだけではなく、全ての人事システムに対応できます。これから新年度に向けて、新入社員への給与口座や通勤交通費の登録といった業務に追われる人事部門は多いでしょう。そういった方々に、ぜひRPAを検討してもらいたいと思っています。
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