Cygamesとガイアックスが明かす、「リアル」な働き方改革の現場:「俺たちの情シス Special」レポート(前編)(2/5 ページ)
「働き方改革」という言葉が一般的に言葉になりつつあるが、本質的な解決に至っている企業はほんのわずか。どうすれば人が働きやすくなるのか――編集部が開催したカンファレンスで、Cygamesとガイアックスの両社に、その取り組みを語ってもらいました。
労働時間が長くなりすぎた社員は、オフィスに入れない?
星野: Cygamesはソーシャルゲームを中心に、ゲーム開発と運営を行っている企業です。私自身は業務部という部署に所属しておりまして、システム管理などを通じて、フロントエンドのクリエイターを支える立場にいます。
弊社で、働き方改革として一番に取り組んでいるのは、直近では「業務時間の短縮化」です。ゲーム開発の現場は、労働時間の長さよりも、クオリティに強いこだわりを持つ人が多く、どうしても業務時間が長くなりがちという問題が昔からありました。
これはとても難しい問題で、クオリティを上げたくて仕方がないスタッフにとっては、“時間をかけられないこと”がかなりのストレスになり、モチベーションの低下にもつながります。辞めてしまうこともあるほどです。ただ、長期間根を詰めて作業をしていると、気付かないうちに心を病んでしまうケースもあります。
そのため、もともとマネージャーが主導する形で、しっかりと業務時間を調整するということを続けていました。それによってだいぶ改善が見られたので、「業務時間の短縮化」をシステムにも取り入れようということで、10月から、残業が多くなりすぎたスタッフについては、強制的にオフィスに入れないようにするというシステムを導入しました。これは社内のアプリチームが開発しました。
池田: それは、どういう動作になるんですか?
星野: 出退勤時にカードをかざすと、今月の残業時間が表示され「あと何時間超過すると入れなくなる」というメッセージを表示すると同時に、入室禁止の危険性がある水準に達している場合、アラートとして音を出して、まわりの社員にも分かるようにするという形です。その代わり、定められた時間の範囲内であれば、残業申請はなくていいようにしました。
とはいえ、事前に指導していたため、そんな状態になったメンバーはほんの一握り。比較的順調に、業務時間のコントロールができるようになってきています。「納得できるクオリティまで突き詰めたい」という気持ちは理解していますが、それを野放しにすればマイナス面が出て、業務のアウトプットに悪影響が出ます。そういう点をしっかり会社でコントロールしていくのが、大きな目的です。
池田: クオリティを追求したい人がいる、という点では、記者も似ているところがありますね。現場としては「もっと働きたい」という人がいる中で、このシステムを提案したり、導入することを決めたりしたのは、誰になるんでしょう?
星野: 良いものを作る人ほど、根詰めてダウンしがちなので、経営層がそういう人たちの健康状態をきちんとコントロールしたいと考えたところから、「労働時間の短縮化」にも積極的に取り組むことになりました。このシステムもその延長線上ですね。完全にトップダウンです。
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