NECは「セーフティ分野のプラットフォーマー」になれるか:Weekly Memo(1/2 ページ)
英ITサービス企業の買収を発表したNECは、これを機に個別SIからプラットフォーム事業者へと転換を図りたい考えだ。果たしてどんなプラットフォーマーを目指すのか。
海外でのセーフティ事業拡大を目指すNECの買収劇
「今回の買収を機に、従来の個別SIを中心とした事業からプラットフォーム事業へと転換を図っていきたい」――。NECの新野隆社長は、同社が先頃開いた英ITサービス企業「Northgate Public Services」(NPS)の買収における発表会見でこう強調した。NECは果たしてどんなプラットフォーム事業を目指すのか。まずは今回の発表の概要を記しておこう。
NECは海外でのセーフティ事業を拡大するため、NPSを投資ファンドから4億7500万ポンド(約713億円)で買収すると発表した。買収完了時期は2018年1月末の予定。
1969年設立のNPSは、英国を中心に公共分野向けのソフトウェアおよびサービス事業を展開しており、英国とインドに約1400人のソフトウェア技術者を保有している。英国の全警察や中央政府、大半の地方政府と取引関係があり、特に警察業務、税徴収・社会保障給付、公営住宅管理の領域で強固な顧客基盤と水平展開可能な「共通業務プラットフォーム」を構築しているという。
一方、NECは海外でのセーフティ事業において、得意とする顔認証や指紋認証などの生体認証技術を活用し、米国の30%以上の州警察に鑑識システムを提供するなど、鑑識や出入国管理といった分野を中心に世界70カ国・700システム以上の提供実績がある。
今後はこれにAI(人工知能)技術を活用して公共機関の業務データから不正申請を迅速に検知するなど、従来の安全・安心とともに効率・公平といった新たな価値を創出するソリューションの提供に注力するとしている。(図1)
NECは今回の買収により、NPSの警察向けの支援・強化に加え、デジタル先進国の英国で共通業務プラットフォームを基にした新たなセーフティソリューションを確立し、法制度の似た英連邦(コモンウェルス)を中心にグローバル市場へ展開していく構えだ。
以上が発表の概要である。会見の内容については関連記事をご覧いただくとして、ここではNECが目指すプラットフォーム事業の中身に注目したい。
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