顔認証システムは何に活用できるのか――NECがデモ展示(1/2 ページ)
NECが「最新ICTソリューションフェア」を開催した。ワークスタイル変革や顔認証ソリューション、先進技術、おもてなしといったテーマごとに、同社の製品やサービスを組み込んだデモを展示した。
NECが5月22日、同社の本社ビルにて、「NEC 最新ICTソリューションフェア」を開催した。ワークスタイル変革や顔認証ソリューション、先進技術、おもてなしといったテーマごとに、同社の製品やサービスを組み込んだデモを、実際に体験できる状態で展示するというイベントだ。カタログや販売代理店、システムインテグレータの説明だけでは分かりにくかった、それぞれの製品の活用シーンを実際に見ることができた。
ここではその中でも注目の、同社の顔認証ソリューションを活用したサービスを中心に、注目の展示を紹介しよう。
マーケティング分野にも広がる顔認証システム
NECの顔認証ソリューションは、すでに防犯領域を中心に導入が始まっており、精度の高さや処理の速さを特徴に挙げている。しかし、防犯以外の領域では、どういった用途に使えるかも含めて、まださまざまな検討が行われている段階だ。最新ICTソリューションフェアの会場では、デジタルサイネージシステム「AdWindowSX」に顔認証システム導入セットと性別・年齢自動推定システム「FieldAnalyst」のオプションを組み合わせた参考展示が目を引いた。
最近は、駅のコンコースやバスターミナルなどを中心に、大型のディスプレイを用いたデジタルサイネージを見かける機会が増えている。しかし、一般的なデジタルサイネージは、通行する人々に対して、一方的にコンテンツを表示するだけのものとなっており、前を通る人に関心を持ってもらうのは容易ではない。しかし、顔認証システム導入セットとFieldAnalystオプションをAdWindowSXに組み合わせると、パネルの前の人を認識し、年齢や性別を抽出して、その人に合ったコンテンツを配信する、といったことが可能になる。
会場では、カメラの前に立った人物の性別と年齢の推測を元に、その人に合った割引クーポンや広告を表示するデモを見せていた。
認識したデータは、個人を特定できない形でマーケティングデータとして活用することも可能だ。顔認証技術を応用して、他のソリューションと組み合わせ、広告を見た人が笑ったかどうか、といったデータも収集できる。ホテルなどに設置すれば、館内の動線分析などにも応用可能だ。宴会場の案内板をどこにどう置けば人がスムーズに動くか、といった分析が行え、よりスムーズな人の誘導などに活用できる。
カメラ付きのタブレットなどでも利用できる顔認証技術
すでに導入が進んでいる防犯用ソリューションのコーナーでは、さまざまなカメラを活用できるビデオマネジメントシステム導入セットを実機展示していた。監視カメラの映像は、ビデオマネジメントシステムで管理することで、活用が容易になる。複数の監視カメラの映像を一括管理できるだけでなく、録画映像から動きや顔情報で検索が可能で、防犯・監視や見守りなどに役立てられるという。
顔認証のデータは、プライバシーに直結するため、取り扱いは非常に難しいというが、今後は主にホワイトリスト方式で運用することで、活用の幅が広がる可能性があると説明員は話していた。つまり、あらかじめ登録しておいた人以外の人物が認識された場合に、何らかのアクションにつなげるというものなら、事前にデータ登録の同意が取りやすく、活用しやすいというのだ。例えばマンションでは、非登録者というだけで外部の人間であることが分かるし、オフィスビルでは来訪者の検出が容易に行える。また、はぐれたおおよその時間と場所から子供の顔を登録できれば、データの中から迷子を捜すといったことも可能だ。
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