部下の成長を加速させるのはどっち? ドーラとナウシカのリーダーシップ:榊巻亮の『ブレイクスルー備忘録』(2/3 ページ)
部下の成長を加速させるリーダーシップとは? ジブリ作品の登場人物「ドーラ」と「ナウシカ」を例に、今、求められているリーダーの姿を考えます。
ドーラとナウシカは対極のスタイル
よくよく両者を比較すると面白い。
ドーラのリーダーシップは、“私に間違いはないからついてこい”型だ。短期間で成果を出したり、即席組織で成果を上げるには効率がいい。「ゴリアテを捉える」という分かりやすい目標に対して「時間がないよっ! みんな、命令通りに動きなっ!」と叱咤するドーラはうってつけの司令塔。過去に経験のある既知のテーマ(船を追いかけるとか)には相性がいい。ドーラ型は既知の課題に向かうには最高のリーダーだろう。成果もバンバン上がる。
でも、部下は育たない可能性がある。ドーラの息子たちの頼りないこと(笑)
圧倒的リーダーシップを発揮すると、リーダーが賢者であればあるほど、部下は思考停止する。考えるのがばからしくなるからだ。思考が退化する。
その証拠に、ドーラは一度も他者に意見を求めていない。そしてリーダーの能力が、組織の能力の限界になっていく。また、ドーラの仲間は「ドーラ一家」という小さなファミリーに閉じている。人を巻き込む力が低いか、重視していないと思われる。
ナウシカは真逆だ。オームという未知の生物。かつて誰も経験したことのない状況に対応しなければならない。そんな中で、ナウシカは実にさまざまな人に助けを求め、教えを乞い、ベストな対応をしてきた(それでも自分の信念はゆらがない)。
ドーラと違い、万能のリーダーではないが、ナウシカの求めに応じて多くの人がその能力を発揮する。“その人なりの輝きを放つ”といってもいい。そして、その力を借りてナウシカは、困難を乗り越えていく。その後に残るのは、関わった人々の能力アップと結束だ。
ドーラは、メンバーを引っ張る司令塔。指示型リーダー。自分が最も優秀であるプレイングマネジャー。ビジョナリー型リーダー。
ナウシカは、メンバーに押してもらうリーダー。フォロワーシップを引き出すのに長けている。自分より秀でた人々を生かして成果を出すファシリテーション型リーダー。自分は媒介であり異なる才能を結び付けるファシリテーター。
そして、ドーラとナウシカで共通しているのは「確固たる意志と信念」だと思う。「私は○○をしたい。なぜならば……」がはっきりしている。どんなタイプであったとしても「ブレない信念」がリーダーの資質の1つなのだろう。これがなければ人は動かせない。
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