部下の成長を加速させるのはどっち? ドーラとナウシカのリーダーシップ:榊巻亮の『ブレイクスルー備忘録』(3/3 ページ)
部下の成長を加速させるリーダーシップとは? ジブリ作品の登場人物「ドーラ」と「ナウシカ」を例に、今、求められているリーダーの姿を考えます。
どちらのリーダーを目指すべきか?
さて、先の読めない今の時代、この対極のリーダーシップのどちらを目指すべきなのか?
現代のビジネスに置き換えてみると、圧倒的にナウシカ型のリーダーシップを目指すべきなのではないだろうか。
いろいろなことが急速に変わる、知識や能力の賞味期限がどんどん短くなる世の中で、ドーラ型で台頭するのはかなり難しいと思う。例えばAIの領域で、ドーラ型で活躍できる人が世の中に何人いるだろうか。そして専門領域はどんどんニッチに細分化していっている。どの領域でドーラになればよいのか、選択が非常に難しい。
だから、中長期的には、土鬼とトルメキアという全く異なる性質の人々(専門家)をつなぐナウシカ型が求められるのではないかと思う。もちろん専門家が他にたくさんいる前提ではあるが。
とはいえ、いきなりナウシカ型を目指すのは、それはそれでつらい。というか、ドーラ型の要素がないナウシカは、ただのコミュニケーションハブにしかならない。ドーラと同じように「確固たる信念」があるからこそ人を動かせる。
だとするなら、若手(成長期)はまずドーラ型のリーダーシップを目指し、ある程度成功体験を積んできたら、ナウシカ型のリーダーシップを目指すのがよいのではないかと思う。
矛盾するようだが、年を取れば自然と経験や知識が蓄積してくることを考えると、若手の頃は
- 既知の課題に取り組むことが多く
- 部下は少ない
- 自分の地力があまりにない
という状況だろう。だから、自分でバリバリとリードすることで実力を付けて、目の前の課題を自分事として捉え、解決に向けて「確固たる信念」を持つことを学ぶ。
そして経験を積んできたら、どんどん課題の難易度上がってくる。
- 未知の課題
- 多くの部下とメンバーで取り組む
- 自分の能力だけではつらい
となるだろう。そうなってきたら、少しずつナウシカ型にシフトだ。経験を積むほど、他者の能力を生かし、結び付け課題を解決していくようになれるものである。
昔の人はよく言ったものだ――「実るほど頭を垂れる稲穂かな」。学びの姿勢がない唯我独尊の中年は見ていて見苦しい。
まとめ
わが社のケンブリッジでは、基本的にファシリテーション型リーダーのスタイルだ。つまり、ナウシカスタイルで仕事をしている。他のコンサルティングファームは、トップダウン型のドーラスタイルが少なくない。
未知の課題に向き合い、新しい変革を起こしていくには、ナウシカスタイルが極めて有効。僕もそれが得意だし、大事にしている。だけどその対極のドーラに引かれるのは、自分にないものを持っているからなんだろうと思う。
ドーラ型とナウシカ型が混在するからこそ、よりよいものが生まれるのだろう。ナウシカとドーラが同じチームだったら、どうなるんだろう――なんて妄想を膨らませてみるのも、また楽しいものだ。
著者プロフィール:榊巻亮
コンサルティング会社、ケンブリッジのコンサルタント。一級建築士。ファシリテーションとITを武器に変革プロジェクトを支援しています。
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