給付金の査定・支払を自動化――朝日生命、「IBM Watson Explorer」を活用した給付金支払査定システムを導入
朝日生命保険は、「IBM Watson Explorer」を活用し、支払査定から送金手配までを自動で行う「給付金支払査定システム」を構築。査定の簡易な事案であれば、診断書などの情報が到着後、最短30分程度で支払査定と送金手配が完了するという。
朝日生命保険は、査定から支払まで人を介さずに自動で行う「給付金支払査定システム」を構築し、1月から稼働を開始した。給付金支払の迅速化と業務効率化を目的に、日本IBMの検索・分析プラットフォーム「IBM Watson Explorer」を活用している。
新システムでは、診断書の記載内容から支払査定に必要な情報(傷病名、手術名、入院情報など)を抽出し、該当するコード情報を自動で導く。従来は人が診断書の記載内容を読み取り、該当するコードを複数の候補の中から判断していたが、同システムにより、正確かつ即時に自動コード化ができるようになった。
コード化された事案は、査定の簡易な事案と高難度な事案に自動で振り分ける。従来は、事案の内容にかかわらず、全て人を介して支払査定を行っていたが、査定内容に応じた業務フローの構築が可能になった。
査定の簡易な事案については、送金手配まで人を介さず自動で行う。これにより、支払査定部門に診断書などの情報が到着後、最短30分程度で支払査定と送金手配が完了するという(従来の平均は2.4日)。
高難度な事案については、従来通り人が査定判断を行うが、同システムの導入により、査定工程における省人化と業務の効率化を図ったことで、査定者は高難度な事案の査定に専念できるようになった。高難度な事案の査定に当たっては、留意すべき事項をシステムがガイダンス表示し、人の査定判断をアシストする。
また、診断書の記載内容から、追加で通院や入院・手術の給付金を請求できる可能性をシステムが判定することも可能になり、顧客への請求手続きの案内につなげていくという。
朝日生命は今後、同システムの精度向上を図り、自動査定・支払の割合を増やしていくことで、支払に要する日数の短縮を進め、顧客サービスの向上につなげるとしている。
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