人員削減に踏み込むNECは成長軌道に回帰できるか:Weekly Memo(1/2 ページ)
NECが2020年度までの新たな中期経営計画を発表した。長らく厳しい経営状況が続く同社だが、果たして成長軌道に回帰することができるか。
2020年度までの新たな中期経営計画を発表
「NECが国内3000人削減」――。先週、新聞やネットメディアが伝えたNECの新中期経営計画(新中計)のニュースにはこんな見出しが踊った。同社が1月30日に発表した2020年度(2021年3月期)までの新中計で、収益構造改革の一環として、間接部門やハードウェア事業領域を対象に国内で3000人を削減することを明らかにしたからだ。
長らく厳しい経営状況が続く同社だが、今回の新中計で、果たして成長軌道に回帰することができるか。筆者なりに考察してみたい。
まずは新中計の概要を紹介しておこう。発表会見で説明に立ったNECの新野隆社長によると、経営方針として「収益構造の改革」「成長の実現」「実行力の改革」の3つを掲げた。(図1)
収益構造の改革では「成長軌道に回帰するために必要な投資を実現するべく、固定費の削減を含む抜本的な収益構造改革に踏み切る」とし、具体的には「SGA(販管費)の削減」「テレコムキャリア/エネルギー事業の構造改革」「国内生産体制の効率化」を実施していく構えだ。
成長の実現では、国内においては「AIやIoTなど市場の変曲点を捉えた事業の成長」「サービス型のビジネスモデルへの変革」を推進。グローバルにおいては成長エンジンとしてセーフティ事業へ注力し、それを支える体制作りを図っていく考えだ。
実行力の改革では、「最新技術を顧客の価値に変え、それをマネタイズする力を強化するとともに、社員の力を最大限引き出し、スピード感を持って最後までやり抜く仕組みを導入して実行力を向上させたい」としている。
また、事業ポートフォリオの方向性としては、図2に示すように3つの領域に分け、左側の改革領域ではテレコム/エネルギー事業において構造改革を断行し、収益性の改善を図る構えだ。中央の堅守領域では国内を中心としたICTサービス/社会インフラ/プラットフォームの3事業において、サービス型のビジネスモデルへと変革してこれからの成長機会を創造し、獲得していきたい考え。そして右側の成長領域ではグローバル事業においてカテゴリーリーダーを狙える領域を、全社の成長の柱として数千億円規模の事業を確立できるようにしたいとしている。
これらの取り組みにより、2020年度の業績として、売上高3兆円(2017年度予想で2兆8300億円)、営業利益1500億円(同600億円)、営業利益率5.0%(同2.1%)を目指す構えだ。
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