コレ1枚で分かる「自動車産業に押し寄せるCASE」:即席!3分で分かるITトレンド(1/2 ページ)
自動車産業に押し寄せる「CASE」(Connected、Autonomous、Shared、Electric)の波は、自動車業界だけでなく、周辺の産業までも巻き込んで、破壊と変革を引き起こし、ビジネスの在り方を根本的に変革しようとしています。CASEがもたらすデジタルトランスフォーメーションの連鎖を解説します。
自動車産業に押し寄せるCASEの波
いま自動車産業は「CASE」の波に翻弄されています。そして、このCASEの波は自動車産業を越えて、さまざまな産業を破壊し、変革を促そうとしています。
CASEとは、Connected(つながる)、Autonomous(自律走行)、Shared(共有)、Electric(電動)を意味する言葉です。
いま自動運転の話題を目にする機会が増えましたが、自動運転は1台の自動車が単独で周囲を認識しただけでは実現しません。
カーブの先にある障害物や300メートル先にある車線規制、死角となっている交差点からの他の自動車や自転車の侵入などの予測は、自動車同士がお互いに接続されて、あるいは信号機や道路上に設置されたセンサーからの情報があって初めて分かることです。
また、目的地に向かう途中の道路標識や信号機、建物などの立体的な配置も正しく把握されていなくてはなりません。そのためには膨大なデータ量の3次元地図が必要となります。それらを全て個々の自動車が持っているのは大変なことで、必要に応じてクラウドからダウンロードする必要があります。さらに、地図は変わり続けます。その変化を捉えた自動車はクラウド上の3次元地図に更新情報を送り、その近辺を走る他の車の地図を更新します。そんな“Connected”なくして“Autonomous”は実現できません。
自動車がインターネットと“Connected”になれば、それぞれの稼働状況をリアルタイムで捉えることができます。ならば、空いている時間をお互いに融通し合えば、いまほどたくさんの車はいらなくなります。つまり“Shared”が実現するのです。
スペースの効率化や地球資源の有効活用の視点からも、また利用者の経済的な負担の削減や、公共交通機関と異なる個人で自由に目的地へ移動できる利便性も、“Shared”を普及させることになるでしょう。
さらに排気ガスや騒音などの環境負荷の低減や、部品点数の減少に伴う製造コスト削減への要請から、“Electric”もまた大きな流れとなっています。中国やEU/ヨーロッパ諸国では、ガソリンやディーゼルで駆動する自動車を法律で規制し、“Electric”への移行を強制する動きも出てきました。
関連記事
- 連載「即席!3分で分かるITトレンド」記事一覧
- コレ1枚で分かる「デジタルトランスフォーメーションを支える5つのテクノロジートレンド」
デジタルトランスフォーメーションが進みゆく未来、ITビジネスはどのような変化をしていくのか――ビジネス変革を推進するクラウドネイティブとアンビエントITの流れを軸に、キーとなる5つのITテクノロジートレンドについて解説します。 - コレ1枚で分かる「テクノロジードリブンの時代」
テクノロジーによる時代の再定義ともいえる「テクノロジードリブン」の波と、テクノロジードリブン時代の変化の行方を読み解く鍵となる「デジタルトランスフォーメーション」について解説します。 - ITとビジネス、両方見られる人材育成を――IDC Japan、国内IoT市場コグニティブ(AI)活用動向調査結果を発表
IDC Japanは、「IoTとコグニティブを組み合わせることで生み出される価値についての調査結果」を発表した。今後デジタルデータの生成量が急増し、それに伴ってIoTやコグニティブの活用が急拡大するという。 - 住信SBIネット銀行、住宅ローンの審査にAIを導入 多様化する顧客ニーズに対応
住信SBIネット銀行が、住宅ローン審査業務にAI技術を活用した手法を導入。複数の機械学習手法を組み合わせて精度を出すアンサンブル学習法を利用した分析により、精度の高い審査モデルを構築したという。 - 「2018年に注目すべき技術トレンド」とは――ガートナーがトップ10を発表
Gartnerは、企業や組織にとって戦略的な重要性を持つと考えられるテクノロジートレンドのトップ10を発表した。「AIファウンデーション」「インテリジェントなアプリとアナリティクス」「インテリジェントなモノ」などAI関連技術も多くリストアップされた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.