約3億人のデータを保持する「Twitter」は、人工知能をどう活用しているのか(2/3 ページ)
先進的なIT企業では、ビジネスやサービスに人工知能を使うのが当たり前になりつつあるが、アクティブユーザーが3億以上という老舗SNSの「Twitter」では、どのように活用しているのだろうか。
Twitterは2016年6月に、写真や動画向けの機械学習技術を手掛けるベンチャー企業、英Magic Pony Technologyを買収した。同社の技術を使うと、仮に投稿された画像が粗かったとしても、顔の部分についてはピクセルの補完が行えるという。
「一般的な人間の顔についての学習データがあれば、それに基づいて顔部分のピクセルを補完できます。このほかにも、手ブレが発生した動画などについても、補正が可能だと聞いています」(森田氏)
タイムラインの「優先表示」、その順位はどうやって決まる?
サービス開始以降、時系列でつぶやきが並ぶ表示が特徴だったTwitterだが、2016年2月から、アルゴリズムがツイートを判断し、一時的に優先表示する機能を追加した。多くのユーザーの注目を集めた機能だが、これにももちろん機械学習が使われている。
フォローしている人間が増えれば、ツイートの多様性は増える一方で、ニーズに合わないつぶやきが表示される可能性も高まる。優先表示というのは、ユーザーの満足度を高め、利用頻度や利用時間を増やす狙いがある。実際に優先表示を採用してから、MAU増加へプラスの効果があったと森田氏は話す。
優先表示に出てくるツイートの順番は、以下の5つの要素によって決まる。
- ツイートの鮮度(最新情報の方の優先度が高い)
- 画像や動画の有無(ある方の優先度が高い)
- リツイートやいいねの総数(多い方の優先度が高い)
- ツイートの出し主への反応の実績(多い方の優先度が高い)
- 日ごろのさまざまなツイートへの反応(傾向に合致する方の優先度が高い)
以上をまとめると、前回のタイムライン閲覧日時から、現時点までのツイートを呼び出し、その全てに上記のルールでスコア付けをし、ツイートの優先順位が決まるという仕組みだ。現在は深層学習の導入も進んでおり、「今後はテキストの文脈も優先順位に影響するようになったり、夕方以降にリンクや動画付きのツイートを優先するなど、ユーザーの反応に合わせたチョイスをしたりすることを目指しています」(森田氏)という。
関連記事
- Twitterに「タイムラインの優先表示」機能(無効化可能)
Twitterが、タイムラインを改変するのではなく、補足する新機能を追加した。ユーザーにとって重要な(とアルゴリズムが判断した)ツイートを一時的に優先表示し、リフレッシュすると通常の新着順タイムラインに戻れる。この機能はオプションで無効にでき、従来のタイムラインは今後もそのままだ。 - Twitter、英AI企業Magic Pony買収で動画サービス強化へ
動画サービスに注力するTwitterが、動画圧縮や品質向上のための機械学習技術を手掛ける英Magic Pony Technologyを買収した。 - Twitter、ついに初の黒字に
Twitterが、IPO以来初の黒字を達成した。売り上げは2%増、MAUは4%増だが、米国のMAUは前期より100万人減った。 - Twitter、検索結果も非時系列に 機械学習による優先順位を採用
Twitterが、検索結果をこれまでの時系列から関連性の高い順での表示に切り替えたと発表した。2月に導入したタイムラインでの非時系列表示と同様に、機械学習でランクを決める。 - 月額9900円、Twitter広告の新たなメニュー「オートプロモート」の特徴を5つのポイントで解説
Twitter Japanは、月額9900円で毎日10ツイートとプロフィールを広告化できる「オートプロモート」を日本で提供開始した。その特徴を5つのポイントで整理する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.