ABEJA、AIプラットフォーム「ABEJA Platform」正式版をリリース 業界特化型SaaSも拡充
ABEJAは、AIインテグレーションサービス「ABEJA Platform」の正式版の提供を開始。AIやディープラーニングのビジネス活用を包括的に支援する。併せてABEJA Platformを活用した業界別SaaSを「ABEJA Insight」として刷新し、小売・流通業界向け、製造業界向け、インフラ業界向けに展開を開始した。
ABEJAは2018年2月22日、AIの継続的なインテグレーションに必要な一連のプロセスを提供する包括的なAIプラットフォーム「ABEJA Platform」の正式版の提供を開始した。併せてABEJA Platformを活用した、業界特化型のSaaS(Software as a Service)プラットフォームとパートナープログラムの拡充も行った。
同社によると、通常、ビジネスのソリューションとしてAIやディープラーニングを活用する環境を開発するには、「データの取得」「蓄積」「学習」「デプロイ」「推論・再学習」という5つの運用プロセスが必要になる。このプロセスを通して、「IoTデバイスや既存システムからの大量データの取得」「取得したデータの蓄積」「蓄積データの確認(バリデーション)」「教師データの作成(アノテーション)」「モデルの構築」「学習(トレーニング)」「モデルの評価」「デプロイ」「推論」「運用の課程で蓄積されたデータを活用した再学習」という10工程を進めることになり、各工程におけるインフラや周辺システムなどの整備も必要になる。
ABEJA Platformは、AIやディープラーニングをビジネスに適用するために必要なこの5プロセスと10工程を備えているうえ、各工程に付随する環境の整備もされているため、実装と運用を大幅に省力化、自動化できるという。
ABEJA Platform正式版の利用料金は、ベーシックプランの場合、年間プラン契約で月額60万円(税別、以下同)から。データ保存容量1TB、データ転送容量1TBで、5ユーザーまでとなっている。
業界特化型SaaSを小売・流通、製造業、インフラ向けに展開
また、これまで小売・流通業界を対象に提供していたABEJA Platformを活用した業界特化型SaaSの「ABEJA Platform for Retail」を「ABEJA Insight」に改め、小売・流通業界向けの「ABEJA Insight for Retail」、製造業界向けの「ABEJA Insight for Manufacture」、インフラ業界向けの「ABEJA Insight for Infrastructure」の3つをラインアップとして新たに提供を開始した。
ABEJA Insight for Retailは、従来のABEJA Platform for Retail同様、店舗の最適化を目的に、カメラなどから取得・蓄積したデータを活用して、来店人数カウント、年齢性別推定、動線分析など、来店客行動を可視化してスマートストアを実現する。
新たに追加されたABEJA Insight for Manufactureは、製造現場の生産性向上のソリューションとして、完成品や中間製品、材料の自動検品、操縦機器の危険検知、製造機械の故障や異常の予測、商品の仕分けなどを提供する。
ABEJA Insight for Infrastructureは、インフラ設備を監視し、安全かつ安定した稼働を実現するソリューションで、異常診断や故障予測、需要の予測などを提供する。なお、製造業向けとインフラ業界向けのサービスは、導入に際して一定のボリュームや解像度などを有するデータの提供が必要となっている。
業界特化型SaaSの利用価格は、ABEJA Insight for Retailは月額1万6000円から(カメラ1台当たり)、ABEJA Insight for ManufactureとABEJA Insight for Infrastructureはともに月額60万円からで、エンドポイント数やデータ量に応じて料金は変動するとのこと。
パートナープログラムでビジネス活用を推進
さらに、今回のABEJA Platformの正式版リリースに合わせて、パートナープログラム「ABEJA Platform Partner Ecosystem」を、「Marketing Partner」と「AI Professional Partner」の2タイプに再編。
Marketing Partnerは、ABEJA Platformのサービスや機能などの十分な知識を有し、ABEJA Platformの普及とAIの社会実装をサポートするパートナー。AI Professional Partnerは、AI、特にディープラーニングに関する高度な技術と体制を備え、専門的な知識のもと、ABEJA Platformの活用によるソリューションの創出とAIの社会実装を促進するパートナー。同社は、パートナーとともに、ABEJA Platformの活性化とビジネスへの適用促進を目指すとしている。
関連記事
- 時間が100分の1に短縮! AIを活用した調理動画解析の破壊力
ABEJAのプライベートイベント「SIX2018」において、LIXILが取り組む行動観察調査の効率化についての事例が紹介された。AIを活用した映像解析とは。 - AI活用でSNSやブログから“市民の声”を抽出――NTTデータとSocial Coin、地域理解ソリューションの開発で協業
NTTデータとスペインのスタートアップ企業Social Coinは、AIを活用した「地域理解ソリューション」を共同開発する。ソーシャルメディアやブログなどから得た“市民の声”をAIで解析し、地域やコミュニティーに潜在する意識やニーズを抽出し、社会課題や地域課題の解決につなげる。 - 不審な取引を自動で判定 JCB、AIを活用した加盟店管理システム
JCBは、AIを活用して加盟店を管理するシステムを開発する。取り扱い禁止商品や不審な取引の有無を自動判定し、安全な決済環境を実現することを目指す。 - 2台のロボットが自然な会話を誘導――雑談を交えながら知識を伝える新感覚の対話AI NTTが開発
NTTは、雑談を通じてユーザーに対話への興味を持ってもらいながら、知識を伝達する新感覚の対話AIを開発。2台のロボットの連携により、話題を適切に制御しながら、雑談と質問応答を違和感なく行き来することで、自然な会話の流れを実現している。 - AI時代に最も求められるスキルは
ビジネスパーソンはAIやロボット技術にどのような期待や不安を抱いているのか。AI時代に求められるスキルとは何か――。日本能率協会の最新調査を基に考察してみたい。 - IBM Cloudが“コスト削減とイノベーションの準備を両立できる”理由
日本IBMが2018年のクラウド事業戦略を明らかにした。筆者が注目したのは、これまでにも増して「既存システムのクラウド化」を強調したことだ。その狙いはどこにあるのか。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.