米連邦政府、ロシアに制裁──大統領選介入やサイバー攻撃で
米財務省が、ロシアの5団体と個人19人に経済措置を発動すると発表した。米国土安全保障省は同日、2016年3月からロシアが行ってきたという米国に対するサイバー攻撃の詳細を報告した。
米財務省の外国資産管理局(OFAC)は3月15日(現地時間)、ロシアの情報機関を含む5団体と個人19人に制裁措置を発動すると発表した。トランプ政権が大統領選介入に関して制裁を科すのはこれが初。
スティーブン・ムニューチン財務長官は発表文で、「2016年の米国選挙への干渉から、破壊的なサイバー攻撃の実施にいたるまでのロシアの継続的な不安定化活動に対抗」すると語った。
「これらの標的制裁は、ロシアからの進行中の悪質な攻撃に対処するための広範な取り組みの一環だ。財務省は、米国の金融システムへのアクセスを断つことによって、ロシアの政府関係者やロシア企業が不安定化活動に対して責任を負うよう、諜報機関から情報提供を受けた追加のCAATSA(敵対者に対する制裁措置法)制裁を課すつもりだ」(ムニューチン氏)
米国土安全保障省(DHS)配下の情報セキュリティ対策組織US-CERTは同日、「エネルギーおよびその他の重要インフラ部門を対象としたロシア政府のサイバー活動」というテクニカルアラートを公開した。
これは、DHSと米連邦捜査局(FBI)が共同で分析したロシアによるサイバー活動に関する報告書だ。「少なくとも2016年3月以来、ロシア政府のサイバー要員は、エネルギー、原子力、商業施設、水、航空、重要な製造業など、米国の政府機関と複数の米国の重要インフラ部門をターゲットにしていた」としている。
この報告書では、サイバー要員がスピアフィッシングでインフラ管理者のアカウントを乗っ取り、攻撃に使っていた手法について詳細に説明し、対策も紹介している。
ドナルド・トランプ米大統領は本稿執筆現在、自身のTwitterアカウントでこの件については何もツイートしていない。同氏は2月17日、FBIがロシア疑惑に時間を費やしすぎだとツイートし、ロシアとトランプ政権に共謀はないと強調していた。
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