働き方改革の“善意”はなぜ、“悪意”に変わるのか:武闘派CIO友岡賢二のサムライ日記(1/2 ページ)
改革派CIOとして知られるフジテックの友岡賢二氏が、変化の時代に生きるIT部門、情報システム部門の仲間たちを叱咤激励する本連載。第1回は、何かとモヤモヤ感が拭えない“働き方改革”にメスを入れます。
この連載は
改革派CIOとして知られるフジテックの友岡賢二氏が、変化の時代に生きるIT部門、情報システム部門の仲間たちを叱咤激励する連載です。改革に疲れた心を奮い立たせ、変革の時代に正しい選択をするための情報を発信します。
「働き方改革 それは、善意が作り出す悪事」――。3月14日、そんなテーマのパネルディスカッションに、クラウドネイティブ代表取締役社長の齊藤愼仁氏と一緒に参加しました。
社会全体の課題として広く議論されている“働き方改革”ですが、私にとっては、常にモヤモヤした感覚が漂うテーマです。そもそも、従業員の視点と経営者の視点で働き方改革への期待にズレが生じる上、これにITベンダーの商売上の思惑までがトッピングされるとモヤモヤ感はさらに加速します。
最近、モヤモヤしたのは、「定時になるとPCが強制的に終了する」「退勤時刻になるとドローンがオフィスを飛び回り“蛍の光”を流して退社を促す」「定時後にメールを送信すると、ログが取られて警告を受ける」「在宅勤務者をカメラで監視する」といったような事例です。
こうしたサービスの出発地点は、「サービス残業のないホワイトな職場」という善意なのですが、たどり着いた結果は皮肉なことに、「システムによる人の行動監視」というSF映画もびっくりの悪意に支配されたような世界に見えてしまいます。
事業会社の情報システム部門が直面する働き方改革関連のテーマも、特に人事部や総務部といった労務管理部門がオーナーとなるプロジェクトにおいては、従業員の満足度向上や職場の快適性向上に本当に寄与するのかを注意深く考慮しないと、結果として“従業員にとっては害悪でしかないシステム”になりかねません。
「ワーク」と「ライフ」を分離していいのか
そんなモヤモヤを抱えて参加したパネルディスカッションで面白いと思ったのが、IT導入のコンサルティング事業を手掛けるクラウドネイティブの働き方でした。同社では、全従業員が在宅勤務やWeWork(コワーキングスペース)でのテレワークなどを利用した分散環境で働いており、Slack上で行動と状況を可視化してチームとして仕事を進めているそうです。
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