情シスやエンジニアをコミュニティーに放流しよう!:武闘派CIO友岡賢二のサムライ日記(2/2 ページ)
中世のお城のような高い塀の中に情シスやエンジニアを囲い込んで、外の世界から断絶させていたのでは、視座が下がり視野は狭くなる一方です。
情シスが社内に閉じこもっている時代は終わった
そんなわけで今回は、コミュニティーについての私の思いを言葉にしてみようと思います。
かつてIT関連の情報は大手ITベンダーからもたらされるものであり、彼らと仲良くなって最新情報をもらったり、上手な利用方法を学んだりするのが一般的でした。それが今では、オープンソースやクラウド上で稼働するSaaSを利用すれば、誰でも最新のITサービスを、今すぐ安価に使うことができます。
こうした新たなサービスの上手な使い方は、どのように学べばいいのでしょうか。答えは簡単です。うまく使っている人から学べばいいのです。
では、うまく使っている人とどこで出会うのか。答えは簡単です。会社を飛び出して、コミュニティーに参加することです。
では、コミュニティーでどのように学ぶのか。答えは簡単です。恥ずかしがらず、手を挙げて質問したり、自ら登壇したりして、参加者の皆さんに悩みを聞いてもらうことです。そうすれば、答えが得られるはずです。
多くの大企業は自社組織が大きいため、会社の中だけで人間関係が完結してしまって、なかなか外を見ようとしません。それ以前の問題として、コミュニティーに参加するために有給休暇を取得しなければならなかったり、個人で参加しているため名刺交換さえためらったりする若者に、これまで何人も出会いました。
中世のお城のような高い塀の中にエンジニアを囲い込んで、外の世界から断絶させていたのでは、エンジニアの視座は下がり、視野は狭くなります。
それを避けるには、会社の塀をできるだけ低くして、外の世界との交流を積極的に促すことが大切で、それこそが情シス責任者の仕事だと思います。また責任者自らがコミュニティーに参加することで部員への参加意欲を高めることも重要です。
フジテックでは、コミュニティーへの参加は業務扱いにしており、出張旅費を会社が負担し、イベントが休日の場合は平日に代休を取得させることで家族へのサービスレベルを維持できるよう配慮しています。コミュニティー活動への支援はエンジニアへの価値ある投資であり、知識の習得だけでなく、リーダーシップ能力の向上にも大いに貢献しています。
コミュニティーでは、“とにかくギブをとにかく続ける”こと
コミュニティー活動は、まず自分の持っているものを他者に与えることがスタート地点になります。他者への圧倒的な貢献に身も心もささげる――。こういう姿勢で取り組めば、世の中とは実にうまくできたもので、そのうち必ず、天から何らかのご褒美が与えられます。
しかし……そこには常に時間差があります。ギブばかりでテイクが得られなくてもめげずに、とにかくギブをし続けると、忘れた頃にテイクのタイミングが訪れます。しかもうれしいことに自分の与えた何倍にもなって戻ってくるのです。
「自分たちのやっていることはレベルが低く、人さまに教えられるようなことはない」――と多くの人は思っているかもしれません。でも、そういうあなたが立ち上がり、人前で声を発する勇気こそがコミュニティーでは称賛されるのです。
会社の枠を飛び出しましょう。コミュニティーに参加し、コミュニティーで学び、コミュニティーに貢献しましょう。自らの足で立ち上がり、まずは声を発しましょう。みんなが、「あなたが立ち上がる勇気」を待っています。
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