インフラ担当とサービス担当、お互いの“距離”を縮めるために必要なこと:リクルート流、SREコトハジメ(3)(3/3 ページ)
SRE部という組織を立ち上げても、すぐにSRE活動が行えるわけではありません。自分ごととしてサービスを理解し、事業との距離を“本当の意味”で縮めることで、初めてできるようになることがたくさんあるのです。
さまざまな施策を通して、事業単位での縦のつながりを強化していますが、150以上のリクルートのサービスインフラを担っているSRE部としては、同時に“横のつながり”、すなわちリクルートグループのサービスインフラ全体の進化も考えなければいけません。そこで、リクルートテクノロジーズでは、各グループの取り組みや成果の発表を行う「インフラ情報共有会」を隔週で開催しています。
SRE部の全員が参加でき、事業ごとの特徴や、課題、施策などを共有することで、リクルートグループにおけるサービスインフラ全体のレベルを底上げしています。
SRE活動の「本質」とは?
今回は前後編を通して、数多くのサービスを持つリクルートグループでSRE活動を行うための組織作りを紹介してきました。各メンバーにSRE活動の意識や意義を浸透させるヒントになれば幸いです。
SREの本質は、事業との絶え間ないコミュニケーションを通じてサービスを理解し、その目的を意識しながら、各ビジネスに最適な形でインフラ上の施策を実施することにあります。特定のフローやツールを適用したり、インフラのコード化や自動化を行ったりするのは、あくまでそのサポートや1つの手段にすぎないと私は考えています。
サービスによって課題や制約条件が異なるため、課題解決に向けた施策の選択肢も、選ぶ基準も状況によって変わるのです。結局のところ、自分たちを取り巻く環境が今どうなっているのか、そして、サービスの現在と理想の姿はどんなものなのかをサービス担当者と一緒に見定めて、適切な施策を講じていくことが重要であり、それができなければ、SREを行う意味はありません。
次回以降は、リクルートにおける具体的なSRE活動の中身を幾つか紹介します。お楽しみに。
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