外回りの営業はうれしい。では、内勤者にどんなメリットが? テレワーク導入のカベ(3/3 ページ)
ITmedia エンタープライズが開催したセミナー「働き方改革のリアル」。セキュリティトラック後半のセッションでは、「情シス」も「現場」も恩恵を受けられるような、働き方改革の仕組みづくりについて、さまざまな提案が行われた。
内勤者にどんなメリットが? テレワーク導入のカベ
場所や時間にとらわれない働き方の1つとして注目される「テレワーク」。メリットが大きい一方で課題もある。
「外勤の営業職ならば、テレワーク環境の効果は分かりやすく、経営者も投資判断を下しやすい。しかし、内勤者が週に数日だけテレワークをしたいというような部分的な利用では、投資効果を判断するのは難しい。むしろ、長時間労働や時間外労働などが起きてしまい、労務管理上の問題が発生しないかという懸念もある」。こう指摘するのは、e-Janネットワークスの三井智博氏だ。
こうした課題を解決するには、全ての従業員が利用しやすく、効果が期待できるテレワークを実現するための業務インフラが必要になる。三井氏は「当社の業務インフラであるCACHATTO(カチャット)であれば、社員全員に導入しやすく、既存のITセキュリティインフラの変更も最小限に抑えられる」と特長を説明した。
CACHATTOは、スマートデバイス用のリモートアクセスサービスとして広く国内の企業に導入されているという。「社内にCACHATTOサーバを1台設置しておき、外部向けのHTTPS接続を用意するだけなので、セキュリティポリシーの変更も最小限で済み、導入しやすい」(三井氏)のが好評なのだという。
専用のセキュアブラウザ経由でアクセスするため、データは閲覧のみで持ち出しはできず、スクリーンショットも撮れない。既に日本生命において、4000〜5000人規模での運用が行われているそうだ。
労務管理もできる業務インフラを作るには?
テレワークの効果を引き出すには、インフラの整備と合わせて、労務管理をしっかりと行うことも必要だ。CACHATTOは、任意の時間帯をシステムにアクセスできないよう設定することもできる。緊急対応が必要な職位も想定し、画面上に「時間外」であることを表示した上で「緊急利用」のボタンを押すことで利用可能にするとともに、そのことを管理者に通知する機能もある。
一方、在宅勤務で利用するデバイスについて、三井氏は「CAHCATTO Desktop」を紹介した。これは、PC上に仮想ワークスペースを作るシステムで、データはCACHATTOを経由してやりとりされる。VDIとは異なり、ネットワークが必ずしも安定していない環境でも利用できるのが特長で、ログアウトすればデータは一括消去される。
さらに、リモートデスクトップソリューションの「Splashtop for CACHATTO」も紹介。CACHATTOのユーザー認証を使って、社内の自席PCとCACHATTOの間でPC画面を転送する機能だ。不定期のリモートワークの場合でも、あまりコストをかけずにVDIを構築できる点で、「内勤の人が利用するのに向いている」という。
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