ローカルストレージはもはや「キャッシュ」? 変わりゆくバックアップの常識:半径300メートルのIT(1/2 ページ)
クラウドサービスの進化でローカルディスクに異変が……。
このコラムではしばしば、データの管理や運用の方法を取り上げています。個人レベルの利用であればクラウドを使わない手はなく、私も試行錯誤しながらいろいろなサービスを渡り歩いています。
中でも何かと面倒なデータのバックアップについては、「クラウドにバックアップデータをアップロードするのは現実的ではない」という記事を書いて以来、全てのデータをクラウド上に保管するのではなく、「直近1〜2年くらいのデータのみをクラウドで活用する」という方法を取り入れました。
写真はAdobe Lightroom CCのクラウドとiCloudフォトライブラリへ、音楽はクラウドではなくiPhoneに全て保管。文書ファイルなどはG Suiteの「Drive File Stream」を利用したところ、面白いことが起こりました。Macの内蔵ストレージがスッカスカになってしまったのです。
内蔵ストレージがスカスカになったわけ
私のMacは500ギガバイトのSSDを搭載しており、その内訳が上記の画像です。どうです、スッカスカでしょう……って、そんなことない? 確かにシステムデータを含めて半分程度は使っていますが、その中身はほぼスカスカなのです。
まず、書類を見てみましょう。書類の保存用に使っているGoogleのDrive File Streamはいわゆるクラウドストレージの一種で、「必要なときだけダウンロードする」のが特長です。例えばDropboxやGoogle Driveは、ローカルストレージにファイルを置くと、それがクラウド側にもコピーされる仕組みで、常にローカルのストレージを使っています。
一方、Drive File Streamは、クラウドに置いたデータは基本的にはローカルストレージには保存されず、ファイルを読み書きするときだけダウンロードします。ローカルには一時ファイルしか置かれていないため、万が一、PCを落としたとしても、大事なファイルはローカルには存在しないので安全です。
また、書類扱いになっている容量のほとんどは、実は「写真」で、写真管理アプリのLightroom CCが作成したキャッシュファイル(74ギガバイト)です。これもクラウド側に元データがあり、単なるコピーが置かれているだけなので、なくなっても問題ありません。macOSの「写真」ファイルも63ギガバイトありますが、こちらも元データはクラウドにあります。
システムはOS部分であり、設定群はクラウドに存在するので、万が一のときには初期化して再セットアップすれば済みます。つまり、ローカルにしかないファイルはほぼ存在せず、「自分が作り出した自分しか持っていないファイル」はクラウド側にあるものが元データになっているのです。このような状況であれば、例えばMacを紛失したとしても、情報漏えいの心配をする必要がありません。その点で「スッカスカは安心」なのです。
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