日本企業が総力戦で開発 「製造業向け“エッジ”技術」は世界に羽ばたくか:Weekly Memo(1/2 ページ)
製造業においてIoTやエッジコンピューティングの技術を活用して、工場の生産効率を向上させようという日本発の取り組みが具体化してきた。果たして、世界に羽ばたけるか。
日本発のエッジコンピューティング向け基本ソフトが登場
工場内のFA(ファクトリーオートメーション)機器とITシステムの連携を推進する業界団体である「一般社団法人Edgecross(エッジクロス)コンソーシアム」が先頃、その連携を行うための基本ソフトウェア「Edgecross」の提供を始めるとともに、関連ソフトを購入できるマーケットプレースを開設したと発表した。
Edgecrossコンソーシアムは、アドバンテック、オムロン、NEC、日本IBM、日本オラクル、三菱電機の6社が幹事会社となって2017年11月に設立。2018年2月には日立製作所も幹事会社に名を連ねた。設立時の会員企業数は51社だったが、2018年4月末時点で140社以上に増え、この分野に関係するさまざまな企業が登録している。
同コンソーシアムが今回発表した基本ソフトウェアとマーケットプレースの詳しい内容については発表資料をご覧いただくとして、ここではEdgecrossの活用領域におけるポジショニングに注目したい。
そのポジショニングを端的に表したのが、図1である。要は、Edgecrossは製造業において、生産現場であるFA(Factory Automation)と情報システムであるITを協調させるエッジコンピューティングを実践するための手だてである。同コンソーシアムの会員にとっては、人・機械・システムが協調する基盤となる一方、エッジアプリケーションは各社の競争によってあらゆる機械や設備とつながる製品を開発し、広く展開していくことができるとしている。
Edgecrossの特長としては、次の5つを挙げている。1つ目は、多様な機器からデータ収集ができるようになり、生産設備やエッジアプリケーションを自由に選択可能なこと。2つ目は、生産現場から連続発生するリアルタイムデータをエッジアプリケーションに最適な形式やタイミングで配信できること。3つ目は、生産現場の機器や装置、ラインを抽象化し、階層的に管理できること。4つ目は、クラウドやオンプレミス環境のサーバ上のITシステムとの連携が容易なこと。5つ目は、特定の産業用PCベンダーのハードウェアに依存しないソフトウェアプラットフォームであること、だ。
図2がEdgecrossの概要を1枚の絵で説明したものである。図の真ん中にある黄色く囲んだ部分が、Edgecrossが担う領域となっている。
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