人材だけそろってもデータ活用はうまくいかない ガートナーが説く「4つのポイント」とは:Weekly Memo(1/2 ページ)
企業にとってデータをいかに活用するかが重要な課題となっている。うまく活用している企業は何が違うのか。ガートナーのフォーラムでそんな興味深い話を聞いたのでお伝えしたい。
データ活用で成功を収めるための「ガートナーの4つの提言」
「データ活用で成功を収める企業は何が違うのか」――ガートナー ジャパンが6月14〜15日の2日間、都内で開催した「ガートナー データ&アナリティクス サミット 2018」で、こんなテーマの講演があった。
講演者は、ガートナー ジャパンの一志達也ガートナー主席アナリスト。同氏は、企業がデータ活用で成功を収めるためのポイントを、「ガートナーの4つの提言」として次のように訴えた。
- [1]データ活用に関わる言葉を理解し、整理し、認識を合わせる。
- [2]基盤の構築やデータ集約よりも、誰が何をどう分析するかを先に決める。
- [3]データの価値や品質、人の育成や意識改革、組織作りに重点を置く。
- [4]ボトムアップとトップダウンの両面で文化を醸成する。
実は、この4つの提言は、一志氏が講演の最後に語ったものだが、ここでは先に紹介しておく。というのは、同氏の講演で筆者が興味深く感じ、この後に紹介したい3つの話は複数の提言に関係するものだからである。とはいえ、4つの提言を解説している話なので、提言の理解も深めていただけると思う。
では、筆者が興味深く感じたその1。「データ分析の目的に応じた手法の選択」の話である。データを活用するためには「分析」が重要だ。一志氏によると、ガートナーではデータ分析を図1のように、上から4つの段階に分類しているという。必要なツールの観点からいうと、「記述的」と「診断的」の上2つは過去から現在を分析するためのBIツール、「予測的」と「処方的」の下2つはBIツールに加えて、機械学習をはじめとしたAIツールが適用される形となる。
図1は、いわばデータ分析のフレームワークである。これによって同氏が訴えていたのは、「データを何のために活用したいのか。それに向けた分析はどこまで行いたいのか。そのために必要なツールはどんなものなのか。まずは、こうした点をきちんと整理して考える必要がある」ということだ。
同氏はさらに、データを活用するためのツールの採用やデータ分析基盤といったIT環境についても、「何を作るか、ではなく、なぜ作るか。それは社内利用者の要望に基づいているか、を十分に検討することが肝要だ」と強調した。ちなみに、このその1の話は、提言の[1][2]に関係している。
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