人材だけそろってもデータ活用はうまくいかない ガートナーが説く「4つのポイント」とは:Weekly Memo(2/2 ページ)
企業にとってデータをいかに活用するかが重要な課題となっている。うまく活用している企業は何が違うのか。ガートナーのフォーラムでそんな興味深い話を聞いたのでお伝えしたい。
若いデータサイエンティストを生かすベテラン社員の活用も
一志氏の講演で筆者が興味深く感じたその2は、「データ活用に適した人材のスキルセット」の話だ。図2の、真ん中の「データ」を取り巻く要素がそれを表したものである。この話は4つの提言全てに関係するので、同氏の説明を基に、筆者なりに解説したい。
まず、データサイエンティストといわれるように「サイエンス」は重要なスキルだが、図の右側にあるように、それを高める方法はいろいろある。「技術」と「ビジネス」のスキルについては、人材交流をはじめとして組織として育成できるようにしたいところだ。「コミュニケーション」と「リテラシー」については、「コミュニケーション力を伴ったリテラシー」を備えていることが不可欠である。
その上で、データ活用に適した人材のスキルとして最も求められるのが、「想像力」である。言い換えれば、発想力、斬新なアイデアを出す力だ。そのためにはやはり、さまざまなビジネスの中身を知っていないと難しい。
一志氏はこれをして、「データサイエンティストはデジタルよりもアナログになれ」と訴えた。同氏の講演で筆者が最も印象に残ったメッセージである。
最後に、その3。「データ活用の専任組織の設置と主な役割」の話だ。図3がその内容である。左側の「どう作ってどこに置くか」の最初に、「データ活用の専任組織と専任役職者を経営企画的な立場と位置に置く」とあるが、これはすなわち、IT部門とは別に設置することを前提としている。ITリーダーやIT部門の立ち位置はその後に記されている。専任組織の主な役割については、図に記されている通りである。
付記しておきたいのは、「ガバナンス」という言葉の意味についてだ。日本語では単に「統制」といわれるが、同氏は「1つの単語の意味を企業内で共通化すること」と語った。どういうことか。「地域や業務の異なる部署が数多くある企業において、例えば“出荷”や“売上”というものがどの時点でどういう形で成立するのか。そうした企業ごとのしきたりがあるならば、みんながそれを理解しておくことが、実はデータ活用においても非常に大事になってくる」という。統制ではなく、「共通認識」という言葉がピッタリ来る感じだ。ちなみに、このその3の話は、提言の[3][4]に関係している。
末筆ながら、その2の話について、筆者も一言、提案しておきたい。若いデータサイエンティストは、技術力はあってもビジネス経験が乏しい。そこで、ビジネス経験豊富なベテラン社員をデータ活用のスキームにうまくはめ込むことはできないだろうか。もちろん、ベテラン社員もデジタルをしっかりと勉強する必要がある。そうしてベテランと若手をうまくかみ合わせれば、いろんな波及効果も生み出すような気がするのだが、いかがだろうか。
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