CIOに聞いた国内企業のIT予算、大企業/中堅企業を中心に拡大傾向 クラウドやDXに投資展望――IDC調べ
IDC Japanは、国内企業のCIOや情報システム部門長などを対象にIT投資動向を調査。2018年度のIT支出計画は、大企業/中堅企業を中心に増加傾向にあることが分かった。パブリッククラウドや外部データセンターの利用は大企業の3割を超え、DXの取り組みは全体の半数を超えた。
IDC Japanは2018年8月9日、CIO(Chief Information Officer)、情報システム部門長、またはそれに準じる立場の管理者を対象に行った、「国内企業のIT投資動向」に関する調査結果を発表した。
大企業/中堅企業でIT予算は前年比増
分析結果によると、2018年度の国内企業のIT支出計画は、全体では、前年度比で「変わらない」とする企業が57%を占めた。ただし、大企業(従業員数1000人以上)/中堅企業(同100〜999人)では、その割合が5割未満となり、「増加」が大企業では46%、中堅企業では36%に達し、ともに「減少」を上回った。
これについてIDCでは、労働人口の減少や人材不足を背景に、大企業/中堅企業を中心に、ITを積極的に活用することで業務の効率化や働き方改革に取り組む動きが強まっていると分析する。
産業分野別では、「通信/メディア」と「金融」でIT予算の拡大傾向が強かった。一方、「政府/公共」では、「増加」が「減少」を上回るものの、「減少」の割合が3割近くに達し、IT予算を拡大する組織と縮小する組織に二極化する傾向が見られた。
大企業のパブリッククラウド/DC使用は3割超え、DXは半数超え
投資領域を見ると、大企業では、パブリッククラウドサービスや外部データセンター(DC)サービスを利用した割合が3割を超える結果となった。
デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業は半数を超え、大企業を中心に、金融と情報サービスの取り組みが先行していた。
業務部門のIT予算は大企業ほど増加傾向、効果や戦略に課題も
また、業務部門が独自に管理するIT予算を持つ企業は、大企業ほど多く、9割を超えていた。
一方で大企業では、「IT投資対効果の可視化」や「IT戦略策定/企画力の向上」を課題とする企業が多く、外部パートナーのサービスを幅広く必要とする傾向も強くなっていることが分かった。
ITサプライヤーは企業のIT投資の構造変化に注目すべし
IDCでは、ITのプラットフォームは10〜20年ごとに変化すると定義しており、現在はモバイル、ソーシャル、ビッグデータ、クラウドの4要素で構成される「第3のプラットフォーム」の普及期と見ている。
今後の国内のITサービス市場は、クライアント/サーバシステムから成る「第2のプラットフォーム」向けのITサービス支出の減少によって徐々に成長率が低下し、代わりにクラウドを中心とした第3のプラットフォーム向けITサービスの支出が市場全体の成長をリードすると予測する。
その中で、ITサプライヤーは、企業のIT投資の構造変化を捉え、DXパートナーとして求められる役割を明確にし、企業全体のIT戦略を包括的に支援するなど、企業との関係性を再構築することが求められると分析している。
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