CIOはデジタル変革にどう立ち向かうべきか:Weekly Memo(1/2 ページ)
いよいよ企業のデジタル変革が本格化する中、CIOはどのような役割を果たすべきなのか。CDO(最高デジタル責任者)とはどう違うのか――。最新調査からその役割について探った。
CIOに求められる「安定的かつ一貫性のあるITの提供」
「企業のデジタル化への取り組みが、ここにきて計画から実行の段階に入ってきた。それに伴い、CIOにも明確な役割が求められるようになってきた」――。KPMGコンサルティングの松本剛 執行役員パートナーは、同社が先頃発表した「Harvey Nash/KPMG 2017年度CIO調査」についての記者説明会でこう切り出した。
デジタル化に向けたCIOの役割とは何なのか。同調査結果の概要については発表資料をご覧いただくとして、本コラムでは「役割」に執着して調査レポートを読み解いて考察したい。なお、同調査は世界86カ国から4498人(日本は約60人)のCIOおよび技術管掌幹部を対象に2016年12月から2017年4月にかけて実施したという。
まず、図1は、企業組織のデジタル化における明確なビジョンと戦略の有無を聞いた調査結果である。2015年から2017年にかけての推移で、「全社的な戦略がある」との回答が伸びているのがポイントだ。ちなみに同回答の2017年は41%となっているが、これを組織規模別に分けると、大規模が53%、中規模が42%、小規模が39%とのことだ。
この図1の状況を踏まえたうえで、図2をご覧いただきたい。この図は、経営陣がITリーダー(CIO)に対応を求める主要なビジネス上の課題は何かを聞いた調査結果である。
この結果で不可思議なのは、デジタル化が進んでいるのであれば、「革新的な新製品・サービスの開発」や「顧客・見込顧客とのエンゲージメントの強化」といった点に関心が集まって上位に来そうなところだが、むしろ上位は「安定的かつ一貫性のあるITの提供」「オペレーションの効率性向上」「業務プロセスの改善」「コスト削減」と、従来のITシステムに対する課題と変わらないことだ。
松本氏はこの点について、「企業のデジタル変革はまだまだこれからとの見方もある一方、デジタル化が全社的な戦略になってきた中で、やはりCIOにはITシステムと合わせてデジタルの推進についても全社的な観点からしっかり管理してほしいとの要望が課題となって表れたとも見て取れる」と説明した。ちなみに、図2で1位の「安定的かつ一貫性のあるITの提供」は、2016年の52%から2017年に63%へ一気に跳ね上がっている。つまりは、この点がデジタル変革においてもCIOに求められている明確な役割といえる。
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