大企業の4社に1社がAIを導入――企業が描くべき「差別化戦略」とは?:Weekly Memo(1/2 ページ)
MM総研の調査によると、国内企業のデジタル革新実施率は4割を超え、AIやRPAの活用も広がっている。この機に「企業はAIとRPAで差別化戦略を描け」と訴えたい。
MM総研が2018年7月に発表した、国内企業におけるデジタル革新の取り組み状況を調査した結果によると、デジタル革新を実施している企業の割合は42.3%、AI(人工知能)を活用している割合は26.3%、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用している割合は21.8%となった。
今回はこの調査結果を踏まえて、特にAIおよびRPAの活用について考察したい。まずは、同調査結果をもう少し詳しく紹介しておこう。この調査は2018年6月に、年商50億円以上の国内大手および中堅企業1029社の情報システム部門と企画部門を対象に実施したものである。
「デジタル革新」という言葉はあやふやな面もあるが、MM総研では、これを「クラウド、モバイル、IoT、アナリティクスやAI、FinTech、高度な自動化など、最先端のデジタルテクノロジーを取り入れ、ビジネスや会社全体に非常に大きな変革をもたらすこと」と定義している。
国内企業の「デジタル革新実施率」は42.3%に
その実施状況については、下の図1が示すように「本格的に実施済み」と回答した企業が17.7%、「テストまたは部分実施のみ」が24.6%となり、これらを合わせた「デジタル革新実施率」は42.3%に達したという。また、未実施企業においても「準備中」および「実施する方向で検討中」と回答した“予備軍”は21.6%となった。
MM総研はこの調査結果に対し、「本格実施に限定すると決して多いといえないが、その後に続くテスト・部分実施が24.6%あり、さらに実施予備軍も21.6%ある。これら全てが本格化すると、実施率は63.9%に達する」とコメント。なお、デジタル革新の実施率は、業種別では大きな差はなかったが、企業規模別では大手企業の方が高い傾向にあり、年商5000億円以上では54.4%に達したという。
次に、デジタル革新を「実施・検討中」の企業(前述の63.9%に相当)に検討開始時期を聞いたところ、図2に示すように、最も回答が多かったのは「2013年3月以前」で27.6%となったが、その後の「単年度」で見ると、2013年度が3.6%、2014年度が5.3%、2015年度が10.7%、2016年度が18.3%、2017年度が19.9%と年々確実に増加。2018年度も6月調査時点で既に11.6%に達している。さらに、デジタル革新実施企業のうち83.6%が今後も強化すると回答していることから、「実施企業の取り組みが一層加速する一方、未実施企業との差が拡大する可能性がある」(MM総研)としている。
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