海外では120億円の追加支払いも 今知っておくべき“IT資産管理の新たな常識”とは:Microsoft Focus(3/3 ページ)
日本マイクロソフトは、SAM(ソフトウェア資産管理)の新サービスとして「マイクロソフトSAMマネージドサービスプログラム」を開始。ソフトウェア資産の効率的な管理とガバナンスの構築、維持を支援し、“攻めのIT”化を支援する。
どこから購入したライセンスでも一元管理、一歩踏み込んだ支援を提供
第1号の認定プロバイダーとなったウチダスペクトラムは、1995年に設立した内田洋行のグループ会社で、大手企業を中心にソフトウェアのライセンス販売やIT資産総合管理サービス、ビジネスプロセスアウトソーシングを提供する企業として長年の実績を持つ。
マイクロソフトSAMマネージドサービスプログラムの認定プロバイダーは、全世界で16社に限定されており、厳しい審査を経て認定されるが、ウチダスペクトラムが国内第1号プロバイダーとして認定されたのは、同社が長年培ってきたIT資産管理に関するノウハウと知見、これまでの実績が評価された結果といえる。
ウチダスペクトラム社長の實本雅一氏は、「マイクロソフトSAMマネージドサービスプログラムを通じて、当社が提供してきたIT資産管理ソリューション「ITAM統合ライフサイクルサービス」を利用している企業に対して、新たなサービスを提供したり、クラウドの浸透などによる複雑なIT環境でのコンプライアンスリスクやセキュリティリスクの分散支援をしたりといったメリットを提供できる。ユーザー企業に対して一歩踏み込んだ関係を構築し、支援していく」と話す。
これは、ウチダスペクトラムが取り組んでいる同社のトランスフォーメーション(構造改革)にもつながるものといえる。
「ウチダスペクトラムは、ライセンスの販売会社から、サービスプロバイダーへとトランスフォーメーションしたい。従来は、ライセンス販売後のサービスの1つとしてIT資産管理を提供してきたが、今後は、どこから購入したライセンスでも、ウチダスペクトラムに預けてもらえれば、全てを管理できるといった事業体制を構築する。マイクロソフトSAMマネージドサービスプログラムの提供は、それをドライブするきっかけになる」(實本氏)
マイクロソフトSAMマネージドサービスプログラムの対象となるのは、従業員数5000人以上の中堅企業から大手企業。Microsoftの製品、サービス以外の資産管理も可能だが、契約期間中のライセンス監査免除の特典は、Microsoft製品、サービスに限られる。2019年6月までに、まずは3社への導入を図るという。日本マイクロソフトでは今後、新たに1社の認定プロバイダーを増やす計画だという。
今後、日本マイクロソフトやウチダスペクトラムでは、マイクロソフトSAMマネージドサービスプログラムに関する訴求活動を強化し、新たなIT資産管理の仕組みの浸透を目指す。
サポート終了製品の対応やセキュリティ対策もカバーしつつ、“攻めのIT”を支援
さらに、国際IT資産管理者協会の武内支部長は、SAMがサイバーセキュリティ対策としてもメリットを生むことを改めて強調する。「今やセキュリティは、“脅威がシステムに入り込むことを前提とした対策”が必要になる。そのためには、契約段階からどのバージョンを標準とし、どのデバイスがマイナーバージョンで運用されているのかを“見える化し”、セキュリティと資産管理を一緒に行う必要がある」とする。
マイクロソフトSAMマネージドサービスプログラムは、こうしたIT資産管理を行いながら、“攻めのIT環境”を作り出すベースとなる仕組みでもある。IT資産管理を“後向き”の業務と捉えず、最新テクノロジーを積極的に活用するための仕組みとして、いま改めて捉え直すべきだろう。
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