EU、侵害コンテンツ削除などを盛り込んだ著作権指令正案で合意、2020年にも施行へ
欧州連合(EU)の著作権指令改正案が合意され、2020年にも施行される見通しになった。Googleなどのいわゆる“プラットフォーマー”は著作権侵害コンテンツの掲載を未然に防ぐことを義務付けられる。また、Google Newsなどに掲載するメディア記事の利用料支払いも義務付けられる。
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は2月13日(現地時間)、9月に可決した著作権指令の改正案に関し、欧州議会、欧州評議会、欧州委員会が政治的合意に達したと発表した。この後欧州議会と理事会による正式な承認があれば2020年にも施行される見込みだ。加盟国が自国の法律に適用するには約2年かかるという。
約20年ぶりになるこの改正は、主にインターネット上の著作権保護強化を目的としている。米Googleなどのいわゆる「プラットフォーマー」に対し、著作権侵害コンテンツの削除などを義務付ける。
改正案では、プラットフォーマーに対し、著作権侵害コンテンツ掲載を未然に防ぐ責任があるとしている。Google傘下のYouTubeのスーザン・ウォジスキCEOは昨年11月、この改正案は「非現実的」で「これを守ろうとすれば、(YouTubeのような)コンテンツプラットフォームに権利に関する正しい決定を期待するのは不可能になる」と主張した。
一般ユーザーは、YouTubeやInstagramのようなプラットフォームに合法的に著作権保護されたコンテンツをアップロードすることを可能にする新しいライセンス規則の恩恵を受けるという。また、パロディなどを含む動画のアップロードに際して、表現の自由に関連した保護手段を用意するため、著作権保有者も恩恵を受けるとしている。
また、メディアの権利に関し、欧州メディアのコンテンツがオンラインプラットフォームで再利用される場合、その収益について交渉する方法を促進することもこの改正案の目的だ。Googleの「Google News」などのオンラインプラットフォームにメディアの記事を掲載する場合、交渉で決めた利用料をメディアに支払うことが義務付けられる。
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