GDPR施行で一部米メディアがEUで閲覧不能に Instapaperも停止中
EUでGDPR(一般データ保護規則)が施行された5月25日から、The Chicago TribuneやThe Los Angeles Timesなどの一部の米メディアがEU地域で閲覧できなくなっている。「後で読む」サービスのInstapaperもサービス停止中だ。
欧州連合(EU)がGDPR(一般データ保護規則)を施行した5月25日(現地時間)、米国の一部オンラインメディアがEU地域からアクセスできなくなった。「The Chicago Tribune」や「The Los Angeles Times」のWebサイトをEUで開こうとすると、以下のようなメッセージが表示されるという。
「残念ながら、われわれのWebサイトは現在、ほとんどの欧州の国々で表示できません。われわれはこの問題に取り組んでおり、すべてのデジタル製品を欧州市場で提供できるようにするオプションを検討しています。すべての読者にコンテンツを提供できる技術的なコンプライアンスの解決策を引き続き模索します」
英BBCによると、米メディア企業のTroncおよびLee Enterpriseのメディアサイトが欧州でアクセス不能という。
メディアサイトだけでなく、一部のソーシャルサービスも欧州でのサービスを停止している。米New York Timesによると、デジタル広告企業の米Drawbridge、米Pinterestが提供する「後で読む」サービスのInstapaperなどだ(New York TimesはKloutも例に挙げているが、こちらは世界全体で25日に終了した)。
Instapaperの責任者、ブライアン・ドナヒュー氏は自身のTwitterアカウントで「この問題を解決し、可能な限り迅速に欧州のユーザーへのサービス提供を再開する」とツイートした。
GDPRの責任者、アンドレア・ジェリネック氏はBloombergなどのメディアに対する声明文で、「GDPRは突然天から降ってきたわけではない。準備する時間はたっぷりあった」と語った。
GDPRは2016年4月に採択され、2年間の移行期間を経て今年の5月25日に適用されたEU地域のユーザーの個人情報保護を目的とした規則。これを順守するために多数の企業が事前にプライバシーポリシーを改訂するなどして対応した。
米Facebookや米Googleは「18カ月かけて準備してきた」としていたが、両社ともGDPRを順守していないとして提訴された。
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