Apple、ユーザーデータをダウンロードするサービスをEU以外でも提供へ
Appleが、ユーザーが自分のデータとプライバシーを一元管理するWebサイト「データとプライバシー」を開設した。Appleが保管している個人データのダウンロードやアカウントの削除などが可能になる。まずはGDPRが施行されるEUで有効になり、他の地域でもすべての機能が利用可能になる。
米Appleは5月23日(現地時間)、「Apple ID」を持つユーザーが自分のデータとプライバシーを一元管理するWebサイト「データとプライバシー」を開設した。翌24日からGDPR(一般データ保護規則)が施行される欧州連合(EU)内のユーザーは、このサイトのすべての機能を利用できる。日本を含む他の地域のユーザーも、今後数カ月中に可能になる。
このサイトにMac、Windows端末、iPadからApple IDでログインすると、自分のIDについて、以下の操作が可能になる。
- Apple IDに紐付けてAppleに保管されているデータのダウンロード
- Apple IDの一時的な無効化
- Apple IDの削除と、そのIDのすべてのデータの完全削除
- 個人データの訂正申請
現在日本では、Apple IDの削除とデータの訂正申請のみ可能だ。
ダウンロードできるようになるデータとしてAppleが例に挙げているのは以下の通り。各項目をチェックボックスで選べる。
- Apple IDアカウントの詳細情報とサインインの記録
- iCloudに保管しているデータ(連絡先、カレンダー、メモ、ブックマーク、リマインダー、メール、写真、ビデオ、書類など)
- アプリの利用状況に関する情報(iCloud、Apple Music、Game Center、その他のサービスの利用に関わる情報)
- App Store、iTunes Store、iBooks Storeから購入またはダウンロードしたアイテムの記録と、それらのストアでの閲覧履歴
- Appleの直営店やサポートの利用時の記録
- マーケティングのコミュニケーション、設定、その他の活動内容の記録
データの開示を申請すると、Appleがアカウントの本人確認の後、「理解しやすい」フォーマットにデータを加工し、Apple IDのアカウントページで閲覧・ダウンロードできるようにする。このデータは通知から2週間、ダウンロード可能だ。ダウンロードデータは「ほかのサービスにも簡単に読み込める業界標準のフォーマットで提供」するとしている。
なお、Appleはメールやメッセージを端末上で暗号化しているため、これらのデータはAppleもアクセスできないのでダウンロードデータには含まれない。
GDPRは、欧州で営業するすべての企業が対象の、個人データの取り扱いに関わる法律。違反すると、2000万ユーロ(日本円で約22.8億円)または違反した企業の年間総売上高の4%に上る罰金が課せられる恐れがある。
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