クラウドHCMの“黒船”、ワークデイが本気の攻勢 「“驚くほど小さい”日本のクラウドHCM市場を拡大したい」:Weekly Memo(1/2 ページ)
SaaS型クラウドサービスで今後の成長分野と目されているHCM(Human Capital Management)。この市場で存在感を高めているワークデイが、今後の成長戦略を打ち出した。果たして、日本のクラウドHCM市場へのインパクトやいかに――。
ワークデイのサービスが受け入れられる理由
「日本のクラウドHCM市場は驚くほど小さい。これを3年後には誰もが認知する規模に拡大したい」――。米Workdayの日本法人ワークデイの鍛治屋清二社長は、同社が2月14日に開いた今後の成長戦略に関する発表会見でこう力を込めた。
HCMとは、人事管理や人材活用に向けた「Human Capital Management」のことだ。WorkdayはこのHCMと財務管理(Financial Management)のクラウドアプリケーション分野で、米Gartnerのマジック・クアドラント2018年版でいずれもリーダーと位置付けられている注目のSaaSベンダーである。
鍛治屋氏によると、現在の年間売上高はおよそ27億ドル(3000億円)。同社のサービスを利用している顧客数は世界で2400社、日本で500社。日本では2013年に現地法人を設立し、2015年から事業を本格展開した。(図1)
その当時、米国本社首脳が来日して開いた会見の模様を、2015年1月19日掲載の本コラム「相次ぐ『クラウドERP日本上陸』の意味」で取り上げているので参照していただきたい。この記事によると、当時の顧客数は世界で700社、日本で150社。それがこの4年間で上記の数に増加した格好だ。
ちなみに、タイトルに「クラウドERP」とあるのは、米国では財務管理とHCMの両方を前面に押し出していることから、総称してERPと捉える見方があるからだ。加えて、創業者のERPへの思い入れもある。この点も前述のコラムを参照いただきたい。
では、Workdayのクラウドアプリケーションは、なぜユーザーに受け入れられているのか。導入期間の短さや操作性、レポートやインタフェースのデザイン性が評価されているのは、筆者も耳にしている。この点については鍛治屋氏も「単一のソースデータ、セキュリティモデル、ユーザーエクペリエンス」をはじめ、「ビジネスプロセスに沿った柔軟な(カスタマイズのない)コンフィギュレーション」「高信頼のデリバリーモデル」「98%を誇る高い満足度」などを挙げた。
とくに、単一のソースデータ、セキュリティモデル、ユーザーエクペリエンスについては、「Power of One」というコンセプトを前面に打ち出している。
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