今だから話せる、関西情シスの裏話「上司からのトンデモ特命」「“脱“で有名なアレも使いよう?」――「大阪俺情」の夜が熱かった:俺たちの情シスin大阪 第1回 レポート(3/4 ページ)
関西では初の開催となった2019年2月「俺たちの情シス」では、ライトニングトークに7人が登壇。SIerからユーザー企業に転身して見えた実情や、ソフトウェアライセンス管理で苦労の末に編み出した技、自社にサイバー攻撃を仕掛けた経験など、さまざまな話が飛び交いました。
「利益を出せる情シス」になるための試行錯誤――通販企業の情シス、Sさん
続いて登壇したのは、ファッション、雑貨、食品などの通販を手掛ける企業の情シス部門に所属するSさん(仮名)。Sさんは、金融系のシステムエンジニアとして4年勤めた後に、今の会社に入社。社歴は既に10年のベテランです。9年目までは、主に基幹システムやCTIシステムの再構築に関わり、2018年に、新設された「新規開発グループ」に異動になりました。
新規開発グループのミッションは、社命として下った「情報システム部門のプロフィットセンター化」です。
「情報システムを使ったコストカットや効率化であれば、自分のこれまでの経験や知識から、何ができるかイメージできます。一方で、プロフィットを出すためのシステムの使い方は、これまでにない視点や取り組みが必要。新規開発グループは、そのために作られた部署です」(Sさん)
目下のSさんの問題意識は、「情シスがプロフィットを出し、役割を拡大していくためにどんな活動ができるのか」の試行にあるといいます。
いろいろな可能性を考える中で、実際に社員が利用する「社内販売サイト」を構築してみたり、申請や稟議(りんぎ)のワークフローシステムを内製してみたりと、さまざまな取り組みを行ってきました。
もちろん、近ごろはやりの「IoT」「AI」「ビッグデータ」といった最新の技術も、自分たちでどのように活用できるのか考えていきたいので、検討と試作を進めているといいます。
「同じような課題に取り組んでいる情シスの方と、ぜひとも情報交換してみたい」というSさんに対し、会場からは、「社内システムを利用する部門に対して課金を行うという仕組み作りも選択肢の一つ」など、さまざまな意見が挙がりました。
情報や文化の「鎖国」は情シスの衰退を招く グローバル企業視点の課題を提示したGさん
続いての登壇者は、医療関連機器の製造、開発、販売を行っている企業にお勤めのGさん(仮名)。グローバルに事業を展開する同社では、売上に占める海外比率は80%以上だそうです。
企業システムとしては、MicrosoftやSAPのソリューションを中心に導入。グローバルの各拠点で使われている製品は同じである一方、そこで使われているコードの体系などはバラバラで、目下の課題は、その統合による合理化にあるそうです。
Gさんが「俺たちの情シス」に参加した最大の動機は「情シスとして抱えている課題や解決策」などの「情報の交易」にあるといいます。
「企業の情シスが抱える問題の一つは、自社、自部門と違う文化に触れる機会が極端に少ないこと。人材の流動性が低いことに加え、取引先となるSIerも固定化する傾向にあります。こうした状況は、いわば『鎖国』のようなもので、情シスの衰退を招きます」(Gさん)
SIerの視点ではなく、実際にソリューションを導入し、運用している「情シス」視点での成功、失敗、苦労の経験を共有することが、「情シスの繁栄」につながっていくのではないかと、Gさんは主張します。
また、「関東と比べて、関西圏では情シスが情報交換できる機会が非常に少ない」とも。同様の意見は、他の登壇者からも挙がっており、実際にそうした状況を変えるための取り組みを始めている人たちもいるようです。この点については、次の2人の登壇者がタイムリーな意見を披露しました。
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