社員30人で年商10億を達成 骨伝導技術で世界に挑むベンチャー、BoCoを支える「クラウドERP」とは:SuiteWorld 2019 Report(2/2 ページ)
ネバダ州ラスベガスで開催されているNetSuiteの年次ユーザーカンファレンス、「SuiteWorld 2019」には、急成長中の顧客新興企業が世界中から参加している。その1社として、独自の骨伝導技術を武器にグローバル市場に挑むBoCoの謝端明社長に話を聞いた。
BoCoのような製造業の場合、ものづくりの難しさと並んで大きな課題になるのがキャッシュフローの管理、つまり資金繰りだ。
「われわれは、世の中にない、全く新しいものを一から創造している。生産設備の初期導入だけでも金型から始まって数千万は掛かる。高い品質の部材も手配しないといけない。4カ月で資金回収するとして、月商3億円の規模なら10億以上の資金が必要になるが、残念ながら銀行はすぐに融資はしてくれない」(謝氏)
幸い、同社は日本政策金融公庫から支援を受けられたが、海外展開や新工場の建設、羽田空港国際ターミナル隣接の大規模複合施設への出店など、資金需要は旺盛だ。
「クラウドERPはすごい」
破竹の勢いで成長を続けるBoCoが、この段階でクラウドERPを導入した理由とは何か。
「迅速な事業展開には迅速な意思決定が欠かせないが、経営が可視化できなければ的確な意思決定はできない。売り上げや商品力のように数字に表れる企業の競争力が“表”だとすれば、経営のスピード化や可視化は“裏”の競争力として表を支えるもの。BoCoではまだまだ商品数は少ないが、それでも10以上の商品開発プロジェクトが進んでいる。今のうちにERPを導入しておかないと可視化が難しくなってしまう。われわれにとっては最優先の取り組みだ」と謝氏。
インドネシアで生まれた謝氏は、早稲田大学大学院で工業経営学を学び、コニカの生産技術研究センターを経て、アクセンチュアなどで製造業のSCMや生産改革、経営改革に従事した経験を持つ。
「10年前なら基幹情報システムをクラウドで構築、運用することは考えられなかった。多くの企業は、膨大なコストと時間を掛けてオンプレミスのERPを導入して経営の可視化に取り組んだが、カスタマイズのせいで保守や更新が難しく、すぐに硬直化してしまう。そうして苦しんできた顧客企業をたくさん見てきたからこそいえる。クラウドERPはすごい。裏の競争力を強化するための必須のワザだ。NetSuiteなら多通貨や多言語にも対応している。今の時代で幸せだ」と謝氏は話す。
KPIで同業他社とベンチマーキングできるBrainyard
NetSuiteは2019年4月2日の午前に行われたSuiteWorldのキーノートで「Brainyard」と呼ばれるベンチマーキングやパフォーマンス分析を核とした一連のサービスを発表した。全世界で1万6000社に上る同社顧客のリアルなデータも活用し、主なKPI(重要業績評価指標)を同業他社と比較して自社のパフォーマンスを分析できるようになるという。
NetSuiteでグローバルフィールドオペレーションを統括するジェイソン・メイナード上級副社長は、「事業の遂行は、流行のキーワードではない。ミッションに基づく企業の戦略を実行に移す、いわばビジネスの基本だ。実効性が求められる。われわれはソフトウェアを提供するだけでなく、顧客企業の成功に投資をしていく」と話す。
この日から公開されたBrainyardのサイトでは、12のインダストリーごとに「売掛金回転日数」や「在庫回転率」のような主なKPIの平均値やベストプラクティスが参照できる。将来は、NetSuiteのダッシュボードなどに直接取り込むことができるようになるなど、さまざまなアイデアが練られているという。ユーザーなら無償で利用できるのもNetSuiteらしい。
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