SalesforceとAWSが展開する“響く”カスタマーファーストとは?:Weekly Memo(2/2 ページ)
「カスタマーファースト」はビジネスを行っている企業ならばどこも重視しているが、クラウドサービスベンダーで筆者が特にその姿勢を感じるのがSalesforce.comとAmazon Web Servicesだ。なぜ両社の姿勢は“響く”のだろうか。
値下げを続けるAWSならではのビジネスモデルを展開
一方、AWSもカスタマーファーストの姿勢は徹底している。アマゾンウェブサービスジャパン(AWSジャパン)の代表取締役社長の長崎忠雄氏は、イベントのスピーチや記者会見で、「AWSはこれまで、お客さまのご要望をお聞きしながら機能やサービスを拡充してきた。その姿勢はこれからも変わらない」と繰り返し語っている。
それを象徴する動きを2つ挙げておこう。
まずは、過去10年間で60回以上の値下げを実施してきたことである。AWSは2006年にサービスを開始して以来、順調に成長を遂げ、今では世界中で100を超えるデータセンターを運営している。そのため、データセンターやネットワークの維持とサーバの調達に関するコストを仮想サーバ1台当たりに換算すると、どんどん安くなっているのだ。また、技術革新によるITコストの低下もコストダウンのサイクルに含まれ、料金の値下げにつながっている。
定期的にITコストの低下を料金の値下げという形で顧客に還元しているわけである。これにより、保守費用の値上げなどで利用中にITコストが上がることなく、利用している間にITコストが安くなるという形になっている。図1に示したのがそのビジネスモデルだが、実はこれは親会社のAmazon.comが展開しているネット販売と同様の考え方だ。つまり、同社CEOのジェフ・ペゾス氏のカスタマーファーストへの強いこだわりなのだ。
もう一つは、AWSがこのところ注力している2つのパートナー企業向け技術認定プログラムを巡る動きである。そのプログラムとは、ソリューション分野別のパートナーの認定プログラム「AWSコンピテンシープログラム」と、AWSの各種サービスの導入実績を持つパートナーの認定プログラム「AWSサービスデリバリープログラム」だ。いずれも「ユーザーから見て選択しやすい」ように見せているのがポイントである。
AWSコンピテンシープログラムについては図2のように、現在23のソリューションで認定を設けており、日本では21社のパートナーが合計30ソリューションの認定を取得している。
また、AWSサービスデリバリープログラムについても図3のように、現在20のサービスで認定を設けており、日本では26社のパートナーが合計47サービスの認定を取得しているという。
クラウドサービスで、ユーザーがパートナーの技量や得意分野などを把握できる仕組みというのは、ユーザーに選択肢をもたらすうえで、とても重要なことだと考える。まさしく徹底したカスタマーファーストの姿勢を打ち出しているAWSらしい取り組みといえよう。
以上、Salesforce.comとAWSによるカスタマーファーストの姿勢を見てきた。両社に共通して最も評価できるのは、Salesforce.comはクラウドアプリケーション(SaaS)、AWSはクラウド基盤(IaaS&PaaS)のサービス分野で、長年にわたって屈指の存在感を発揮し続けていることである。それは多くのカスタマーが支持しているからに他ならない。それこそが、両社がカスタマーファーストを“有言実行”している証しである。
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