コレ1枚で分かる「SIビジネスに取りつく“3匹のお化け”」:即席!3分で分かるITトレンド(3/3 ページ)
SIビジネスに取りつく“3匹のお化け”は見えていますか? その存在に気付かないでいると、ビジネスに重大な危険を招きかねません。有効な“お化け”退治の方法とは?
新たな需要を見極める目を養うべし
以前、私が主催する「ITソリューション塾」に、大手製造業で新規事業を推進する2人の責任者を招いて話を伺ったことがあります。彼らに、「SIerに何を期待するか」と質問したところ、「期待することはない」と明言しました。90人のSIerの社員を目の前にしての話です。ちなみに、この2人は、もともとSIerに勤めていた経歴を持っています。
正確にいえば、「依頼に応え、工数を提供するだけのSIerに期待することはない」ということであって、彼らは何もかもを自分たちだけでできるとは思っていません。従って、高い技術力を持ち、アジャイル開発やDevOpsの実践に長けたSIerとは、資本提携までして、そのノウハウや技術力を吸収しようとしています。つまり、工数ではなく、技術力にお金を払うというスタンスです。
SIerの立ち位置は、そんな企業の内製化支援ということになります。
AIやIoTの技術の進化と普及に伴い、それを積極的に活用していけるかどうかが、企業の競争力を大きく左右します。そうなれば内製化が進むものの、技術力を全て自社でまかなうことは難しいでしょう。そのとき外部の協力を得て、技術力を補おうというモチベーションが強力に働きます。
そして、SIerが技術力で企業の事業に貢献できれば、同様の需要は拡大します。そこからSIビジネスの新たな需要が生まれてくるのでしょう。
果たして、あなたには“3匹のお化け”が見えているでしょうか? 冷静な目でテクノロジーのトレンドを見据えれば、それがどれほどの力を持ち始めているかに気付くはずです。
著者プロフィール:斎藤昌義
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィールはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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