「令和」に改めて問う、あなたの会社が使っているクラウドはビジネスの競争力を高めているか?:Weekly Memo(1/2 ページ)
企業のITシステムはなぜクラウド化すべきなのか。そして、どう進めればよいか。これまで幾度となく論議されてきたこれらの問題を、ガートナーの名物アナリストである亦賀忠明氏の話を基に、あらためて考察したい。
ガートナーの名物アナリストが訴える「クラウドの本質」
「クラウドは、ハイスピードでめまぐるしく変化するようになってきたビジネス環境に対応して競争力を高めるために生まれてきた新しいコンピューティングスタイルだ。その基本的な解釈をあらためて強調しておきたい」
ガートナー ジャパン ディスティングイッシュト バイスプレジデント アナリストの亦賀(またが)忠明氏は、同社が2019年4月23〜25日に都内で開催した「ガートナーITインフラストラクチャ、オペレーション&クラウド戦略コンファレンス2019」の「クラウドコンピューティングの最新トレンド」をテーマにした講演でこう述べた。
同氏がこのように訴えるのは、「日本では“クラウドの解釈がぼやけてきている”と感じるからだ。特に強調しておきたいのは、クラウドはシステムインテグレーション(SI)の延長にあるものやSIの商材の1つではないということ。SIで行われてきた時間をかけたシステム開発や融通の利かない作業プロセスでは、今のビジネスのスピードや変化に対応できないから生まれてきたという根本的な点を思い起こしてほしい」との強い思いからだ。
その上で、同氏はクラウドの真のインパクトについて、「ブラウザとスキルで、世界中にすごいサービスを提供できるようになる。それは、世界のビジネススタイルやライフスタイルを抜本的に変えるものになる」と説明した。
実は、クラウドの最新トレンドをテーマにした同氏の講演はここ数年、毎年春と秋にアップデートする形で行われているが、冒頭でクラウド化の本質的な話について述べた時間としては、今回が最も割いていたように感じた。それだけクラウドの解釈がぼやけてきていることに危機感があるのだろう。この点は筆者も全く同感なので、同氏の言葉を借りてしっかりと記しておきたい。なお、本コラムでは、2018年の春と秋の同氏の講演も取り上げているので参照していただきたい。
以上が、企業のITシステムをクラウド化すべき理由である。
では次に、クラウド化の進め方の道しるべとなる「クラウド戦略の立案」について、同氏の話を基に、以下にいくつかの図を示しながら説明していこう。
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