変わりつつあるビジネスモデル――NTTデータは「システムインテグレーター」を名乗り続けるのか:Weekly Memo(1/2 ページ)
システムインテグレーター(SIer)として確固たる地歩を築いているNTTデータ。ただ、同社にとっても新たなデジタル化への対応は必然だ。果たして、同社はシステムインテグレーターを名乗り続けるのか。
「変わらぬ信念、変える勇気」を掲げた新中期経営計画
NTTデータが2019年5月9日、2018年度(2019年3月期)の決算と、2019年度(2020年3月期)から3カ年の新中期経営計画について記者説明会を開いた。
本稿では、新中期経営計画の内容を紹介しつつ、同計画のスタートを機に、システムインテグレーター(以下、SIer)の代表格の1つであるNTTデータが、「デジタル化の進展に伴って今後もSIerを名乗り続けるのか」について、会見で説明に立った同社の本間洋社長に質問した結果を基に考察してみたい。
まずは中期経営計画の目標値を比較できるように、2018年度の業績を図表1に示しておく。本間氏はこの業績について、「創業以来30期連続増収を果たし、非常に良い形で前中期経営計画の最終となる2018年度の決算を終えられた」と振り返った。
ちなみに、前中期経営計画では、「ローカルプレゼンスの向上」によるグローバルブランドの確立を戦略の根幹に据え、「リマーケティングのさらなる深化」と「技術革新による価値創造」を重点方針とした取り組みを推進。これにより、2018年度において「連結売上高2兆円超」および「2015年度実績と比べた調整後連結営業利益額50%増」の中期経営目標を達成した。
そして迎えた新中期経営計画。「変わらぬ信念、変える勇気によってグローバルで質の伴った成長を目指す」を基本方針とし、2021年度に「連結売上高2兆5000億円」「売上高営業利益率8%」などを目指す構えだ。
計画の全体像をキーワードで表したのが、図表2である。「変わらぬ信念」とは、「企業理念」と「Long-Term Relationships(長期的信頼関係)」に基づく。「変える勇気」は「Transformation」と「Synergy」を、「グローバルで質の伴った成長」は「Growth」と「Earnings」を挙げ、「これら4つの力を高めていく」と本間氏。社内では4つのワードの頭文字を取って「GETS」と呼んでいるそうだ。
このうち、変える勇気については、「グローバルデジタルオファリングの拡充」「リージョン特性に合わせた顧客への価値提供の深化」「グローバル全社員の力を高めた組織力の最大化」といった3つの戦略を実行するという。
関連記事
- 「Weekly Memo」記事一覧
- デジタル時代に企業が行うべきこと 価値創造のための3つのステップとは
デジタル時代に企業が行うべきことは何か――。先ごろ取材したNTTデータの本間洋社長のスピーチが興味深かったので紹介したい。キーポイントは「3つの価値の掛け合わせ」である。 - “高度専門人材”の争奪戦に負けるな! NTTデータに見るデジタル変革時代の人事制度とは
NTTデータが、デジタル変革をリードする専門性の高い外部人材を市場価値に応じた報酬で採用する制度を新設した。この機に、同社の説明に基づいて、デジタル変革時代の人事・報酬制度について考察してみたい。 - NTTデータとGoogleの協業でどんな“化学反応”が起きるか 最先端の「共創の場」が生み出す世界
NTTデータがデジタルビジネスのデザイン拠点を東京・六本木に開設し、そこで活用する最新技術でGoogleと協業する。果たして、どんな“化学反応”が起きるか。 - デジタル改革時代に“選んではいけない”SIer
企業にとってSIerは業務システムの構築・運用のみならず、デジタル変革の推進においてもパートナーになり得るのか――。NTTデータの話を基に考察してみたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.