デジタル時代に企業が行うべきこと 価値創造のための3つのステップとは:Weekly Memo(1/2 ページ)
デジタル時代に企業が行うべきことは何か――。先ごろ取材したNTTデータの本間洋社長のスピーチが興味深かったので紹介したい。キーポイントは「3つの価値の掛け合わせ」である。
企業の価値創造に向けた3つのステップとは
「企業がデジタル化を推進するためには、“How”ではなく“What”から始める必要がある」――NTTデータの本間洋社長は、同社が1月25日に都内ホテルで開催した自社イベント「NTT DATA Innovation Conference 2019」の講演でこう呼びかけた。
本間氏はこれから起こりうる情報社会トレンドとして、「デジタル化による主導権シフトが社会の仕組みを変革する」、そして「“個”の影響力拡大が新たな価値の源泉を生み出す」といった2点を挙げ、企業がこれらに立ち向かい、競争力を高めていくためには、デジタル化の推進が必須だと指摘。そのための「How」ではなく「What」について次のように説明した。
「Howは最新技術を導入したり、他の企業と“共創”したりすることを指すが、いつの間にか、それがデジタル化の目的になっていないか。そうではなく、自社の提供価値の再定義や新しい価値を生み出し続けていくことを指すWhatから考えていくべきだ」
そして、「価値とは、製品やサービスのことではなく、顧客が感じる“効用”そのもの。変化の激しい環境下では、提供価値を継続的に高め続けていくことが不可欠だ」と強調した。
では、その「価値」はどのように創っていけばよいのか。本間氏は、その価値創造には、次の3つのステップがあるという。
まず、第1のステップとして考えなければいけないのは、「個」を意識してつくること。つまり「固有の価値」だ。同氏は、「より素晴らしい価値を創造するためには、対象となるユーザーの想いを深く理解する必要がある。しかも、理解すべきは不特定多数のユーザーではなく、ユーザー一人一人についてだ」と説明。さらに、「ユーザー自身も気づいていない深層的なニーズを掘り起こすことも重要だ」とも語った。
ただし、固有の価値を創るうえで陥りやすいワナもあるという。ステレオタイプなユーザー像の思い込みや、表面的なユーザーの声だけでサービスを作り込んでしまう、あるいは、技術ありきでサービスを考え始めてしまう、といったことだ。
そうしたワナに陥らないために、同氏は「ユーザーの悩みの種を的確かつ深く捉え、それを解決できるような価値を創るべきだ」と指摘。また、「ユーザーの声を表層的に捉えるだけでは、真の意図はつかみきれない」とも語った。
同氏はこの固有の価値において、「デジタルとは、ユーザーの理解を深め、価値を高め続けていく仕組み。このPDCAをしっかりと回し続けることが重要だ」と説いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「Weekly Memo」記事一覧
“高度専門人材”の争奪戦に負けるな! NTTデータに見るデジタル変革時代の人事制度とは
NTTデータが、デジタル変革をリードする専門性の高い外部人材を市場価値に応じた報酬で採用する制度を新設した。この機に、同社の説明に基づいて、デジタル変革時代の人事・報酬制度について考察してみたい。
NTTデータとGoogleの協業でどんな“化学反応”が起きるか 最先端の「共創の場」が生み出す世界
NTTデータがデジタルビジネスのデザイン拠点を東京・六本木に開設し、そこで活用する最新技術でGoogleと協業する。果たして、どんな“化学反応”が起きるか。
デジタル改革時代に“選んではいけない”SIer
企業にとってSIerは業務システムの構築・運用のみならず、デジタル変革の推進においてもパートナーになり得るのか――。NTTデータの話を基に考察してみたい。
QRコードを使って銀行口座間の送金を可能に NTTデータ、バンキングアプリ「My Pallete」で提供へ
NTTデータは、岩手銀行など、地銀など18の金融機関が利用するスマホ用バンキングアプリ「My Pallete」に、QRコードを使って銀行口座間の送金ができる新機能を追加する。
ブロックチェーン活用で、外航貨物保険の支払い手続きが1カ月超から1週間に――東京海上日動とNTTデータが実証
東京海上日動火災保険とNTTデータは、外航貨物海上保険の保険金請求手続きへのブロックチェーン技術の適用を検証。保険証券や事故報告書、貨物の損傷写真といった必要なドキュメントをブロックチェーン上で共有することで、保険金の支払いプロセスを迅速化する。
