「何のためにやるのか」――HPEの新サービスに見る企業ITのマルチクラウド化の要件:Weekly Memo(1/2 ページ)
企業の既存システムや複数のクラウドを連携させる「マルチクラウド」への注目度が高まる中、HPEがこれを指南するサービスを投入した。本稿では、このサービスからマルチクラウド化の要件について考察したい。
HPEが提供するマルチクラウド構築支援サービスとは
米Hewlett Packard Enterprise(HPE)の日本法人である日本ヒューレット・パッカードが先頃、同社のサービス「HPE Right Mix Solution」を強化し、そのコンサルティングサービス「HPE Right Mix Advisor」を国内で提供開始すると発表した。HPE Right Mix Solutionは、企業のITシステム全体の最適化を視野に入れたマルチクラウド環境の構築を支援するサービスだ。
発表会見で説明に立った日本ヒューレット・パッカード執行役員 Pointnext事業統括の小川光由氏によれば、「企業の既存システムや複数のクラウドを連携させるマルチクラウドへの注目度が高まっている。しかし実際には、さまざまなアプリケーションやワークロードをプライベートクラウドとパブリッククラウドへどのように分散させるかなどを判断することは困難で、時間もかかる」という。(図1)
小川氏は、「新サービスのRight Mix Advisorを通して、HPE内の豊富な実績を持つツールやフレームワーク、最先端の知見や経験、データに基づいた広い視野と深い洞察により、迅速かつ実効性の高いマルチクラウド施策を立案し、お客さまのビジネス目標達成の加速を支援していきたい」とアピールした。
Right Mix Advisorを含むRight Mix Solutionの全体像は、図2の通りである。マルチクラウド環境の構築を支援するサービスとして、Right Mix Advisorの他、以前から提供しており、オンプレミス環境を最適化する「Right Mix Infrastructure」、データストアを最適化する「Right Mix Data Store」、ネットワークを最適化する「Right Mix Networking」、そして、オンプレミス環境で従量課金型のインフラサービスを提供する「GreenLake」をラインアップし、今回ソリューションとして体系化した形となった。(図2)
なお、小川氏の肩書にあるPointnextは、Right Mix Solutionを手掛けるサービス事業組織で、2017年から活動を始めた。HPEの80カ国2万5000人を超えるITエキスパートが、30の言語を通じて、クラウド関連のコンサルティング、実装から運用サービスまでを提供。その事業規模は年間72億8000万ドル(日本円で約7500億円)となっている。
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