ゴールを明確にせよ――AWSが説く「クラウドジャーニーの勘所」:Weekly Memo(1/2 ページ)
企業における「クラウドジャーニー」の勘所とは何か。AWSジャパンの長崎忠雄社長が自社イベントの講演で、この点について語った内容を基に考察したい。
デジタル化は「ソフトによるビジネス価値の最大化」
Amazon Web Services(AWS)の日本法人であるアマゾンウェブサービスジャパン(AWSジャパン)が6月12日から3日間、年次イベント「AWS Summit Tokyo 2019」を千葉の幕張メッセで開催した。2012年から今回で8回目という同イベントは、筆者もここ5年続けて取材しているが、クラウドサービスのトップベンダーだけあって、回を重ねるごとに規模が拡大しており、相変わらずの勢いを感じるプライベートイベントだった。
本稿では、AWSジャパンの長崎忠雄代表取締役社長が初日の基調講演で語った企業における「クラウドジャーニー」の勘所についての話を取り上げ、その内容を考察してみたい。クラウドジャーニーとは、企業におけるクラウド化への継続的な取り組みを「旅路」(ジャーニー)に例えた言葉である。
クラウドジャーニーの前に、長崎氏は国内でのインターネットトラフィック量がここ数年急増していることを表した図1を示しながら、次のように話した。
「この動きはすなわち、世の中のデジタル化が急ピッチで進んでいることを表している。中でも企業におけるデジタル化は、ソフトウェアによるビジネス価値の最大化を図ることだと、私は解釈している。それを効果的に進めるために、企業はIoT(Internet of Things)などの技術を活用して、さまざまなデータを膨大かつ迅速に収集している。そうした活動によって、これまで考えもしなかったビジネスモデルもどんどん生まれている。クラウドはそうした活動を支えている」
さらに、こう続けた。
「ソフトウェアによるビジネス価値の最大化を図るとは、企業がそのソフトウェアを常に改善し続け、自らのお客さまに対するエンゲージメントを強化し続けるということだ。そうした動きによって、これまでハードウェアが主体だった企業のビジネス活動がソフトウェア主体にシフトし、それぞれの企業のお客さまに対するエンゲージメントの在り方が抜本的に変わる。それこそが、企業におけるデジタルトランスフォーメーションの本質だと、私は考えている。重ねて言うが、クラウドはそうした活動を支える技術であり、サービスである」
「企業におけるデジタル化は、ソフトウェアによるビジネス価値の最大化を図ること」というのは、チェックしておきたい解釈である。
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