企業はITリソース不足を「外注」でカバーせよ? ガートナーが新指針
ガートナー ジャパンは、デジタル時代のパートナー戦略に関する指針を発表。ユーザー企業は、リソースが限られていることを前提にしたIT施策を遂行していく必要があり、そのためには、社外のパートナーを広く捉え、その能力を有効活用する取り組みが欠かせないという。
ガートナー ジャパンは2019年8月20日、デジタル時代にふさわしいパートナー戦略に関する指針を発表した。企業は、限られたリソースを前提に、最適なソーシングオプションを選択し、多様な社外パートナーの能力を最大限に活用すべきだという。
ユーザー企業とITパートナーとの関係に内在する課題とは?
ガートナーでは、平成の30年間は、IT部門によるアウトソーシング戦略の変遷期間であり、委託先のパートナーとの関係は、テクノロジーの進化や企業を取り巻く経営環境の変化とともに変容してきたと説明。その関係に内在する課題や摩擦は依然として払拭(ふっしょく)できていないと分析している。
同社が国内のユーザー企業のITリーダー(ITシステムの構築、導入、保守、運用やサービス委託先の選定に関与している担当者)を対象に2019年3月に実施した調査結果によると、「開発・運用の委託先パートナーはIT戦略上の重要な存在である」と回答した企業の割合は全体の85%に上ったが、その一方で、「現在の委託先パートナーに満足している」割合は42%だった。
この状況について、ガートナーでは、「企業はこれまで、コスト削減、効率化、人員補完による余力創出を目的としてアウトソーシングを活用してきたが、期待した成果が見いだせないか、あるいは長期にわたるアウトソーシングによって“パートナー依存”に陥っている」現状が見て取れると指摘している。
今後も、企業におけるアウトソーシングの需要は増える傾向にあり、IT支出に占める比率も拡大が予測される中、IT部門が人材不足の課題を解決できない状況は続くと見ている。
一方、委託先であるITベンダーでは、大手プレイヤーの市場支配が定常化し、重要顧客の「囲い込み」が加速しているという。ただし、ITベンダーのデジタルトランスフォーメーション(DX)への注力度には温度差があり、大手ITベンダーであっても全方位の施策に長けているわけではないため、企業が推進したい施策内容によっては人材スキルの差や不足が生じる可能性があるとしている。
限られたリソースを前提に、ソーシングオプションの可能性を追求すべし
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
国内企業のソフトウェア契約形態は「データボリューム課金」に移行 適切なコスト管理が鍵――ガートナー調査
国内の企業向けソフトウェアの契約形態で現在主流の「ユーザー課金」や「デバイス課金」は、デジタル化を背景に、「データボリューム課金」に取って代わるという。ユーザー企業は、データボリュームの測定方法や従来契約とのコストの違いを十分に検討することが望ましいという。
自社データの財務的価値を把握している企業は1割以下、機械学習やAIは「重要」と考えている ガートナー調査
ガートナーの調査結果によると、自社の情報やデータ資産の財務的価値を測定している割合は8%。機械学習やAIについては、多くの最高データ責任者が重要だと回答した。
企業の6割がAIを内製する時代へ? ガートナー、テクノロジー人材「5つの動向」を発表
ガートナーは、2019年から2022年までの国内のテクノロジー人材動向を発表。ユーザー企業の6割以上でIT担当者がAIを自ら開発運用するスキルを習得すると予測される一方、人材の育成に取り組まないIT部門は8割が縮小するなど、企業の明暗を分ける変化が起きると見ている。
デジタル変革時代のインフラ設計は“これまでの常識が通用しない” ガートナーが説く「クラウド時代のインフラ投資」
企業は今後のクラウド戦略をどう描けばよいか。ガートナーの名物アナリスト、亦賀氏はデジタル変革に向けたインフラづくりを急ぐべきだと強調する。どういうことか。
Microsoftはなぜ「Azure Stack HCI」を市場投入したのか
Microsoftがハイブリッドクラウド需要の拡大に向けて、「Azure Stack HCI」を市場投入した。なぜ、Azure StackにHCI版を追加したのか。そこにはIT市場の最前線の動きが見て取れる。
