富士通グループで“もう1つのDX推進会社”が本格始動――富士通マーケティング広瀬社長に聞く:Weekly Memo(2/2 ページ)
富士通グループの中堅中小企業向け事業を担う富士通マーケティング(FJM)が、DX支援に向けて本格的に動き出した。富士通本社も2020年1月にDX新会社の設立を表明しているが、FJMはグループの中で“もう1つのDX推進会社”としての役割を担う構えだ。その思いと戦略とは?
パートナー企業と連携したDX事業の展開に注力
では、FJMの今後の戦略における注力ポイントは何か。これに対し、広瀬氏は次のように語った。
「全国各地域をカバーする営業サポート網やシステムインテグレーション、クラウドサービス、そして幅広いパートナー企業との連携事業といったFJMの強みを生かしたデジタルトランスフォーメーション(DX)事業の推進に一層注力していきたい。もともとクラウドをベースとしたデジタルビジネスは、業界でも先駆けて手掛けてきたと自負しており、IT企業からDX企業への転換を掲げている富士通グループにおいても力強いけん引役を果たしていきたい」
具体的には、10月から図1に示すDX推進体制の基で、デジタルビジネスを推進するエキスパートである「デジタルイノベーター」(DIer)の6人を含めた、およそ20人からなる「DX推進部」を設置。この推進体制を中核にFJM全体のDX事業を活性化させていきたい考えだ。
さらに、DX事業の推進においてもFJMの大きな強みとなるのが、パートナー企業との連携だ。このため、FJMでは現在、図2に示すように5つの支援策を実施。特に、パートナー企業同士の連携を支援する「ビジネスマッチング」や、FJMが持つ「デジタルマーケティング」のノウハウをパートナー企業にも利用してもらえるにした仕組みは、FJMならではの支援策としてパートナー企業から好評を得ているという。
DX事業については、富士通が2020年1月に専任の新会社を設立すると、社長の時田氏が2019年9月26日に開いた経営方針説明会で表明した。一方で、広瀬氏によると、時田氏は2019年8月29日にFJMを訪れて社員を前に、「国内でこれまで以上に圧倒的に強くなりたい。FJMにその中核を担ってほしい」と語ったという。
時田氏のこのメッセージはDX事業だけを対象にしたものではないが、「中堅中小規模向けの国内民需およびパートナー企業と連携するDX事業は、FJMにどんどん推進してほしい」という意図が見える。その意味では、富士通本体が間もなく新設するDX会社とは別に、FJMが富士通グループの中で“もう1つのDX推進会社”としての役割を担うことになりそうだ。
広瀬氏は取材の最後にこう語った。
「FJMはかねて『ミニ富士通』とも言われてきたが、これまで述べてきた強みを生かせば、お客さまのDXをしっかりと支援していける唯一無二のソリューションプロバイダーになれると確信している。そのように経営のかじ取りをするのが私の役目だ」
一時は富士通本体に統合されるかもしれなかったFJMだが、強みを再確認したうえでDX推進会社として本格的に動き始めた印象だ。DX推進会社としての広瀬氏の経営手腕にも大いに注目していきたい。
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