トランスフォーメーションをデザインせよ――富士通の新会社にみるDX推進の勘所:Weekly Memo(1/2 ページ)
DXにどう取り組めばよいのか――。多くの企業が抱えるこの課題に対し、富士通が2020年4月1日に事業を始めるDX新会社の取り組みから、同じくDXを推進する視点で参考になりそうなポイントを探ってみたい。
企業のDXの取り組みにおける3つの課題とは
デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みは、今やどの企業にとっても重要な課題になってきている。ただ何を考え、どう動けばよいのか。それぞれに状況が異なることもあって、基本的な取り組み方について頭を悩ませている企業が少なくないようだ。
そこで本稿は、富士通が2020年4月1日に事業を始めるDX新会社のRidgelinez(リッジラインズ)の取り組みから、同じくDXを推進する視点で参考になりそうなポイントを探ってみる。
「RidgelinezはDXに関するコンサルティングから最新技術の実装までワンストップでお客さまにサービスを提供する。富士通も強力なパートナーの1社として貢献していきたい」――。
富士通の時田隆仁社長は、同社が先頃開いたDX事業の取り組みに関する記者会見で、子会社であるRidgelinezと富士通のビジネスにおける関係について、図1を示しながらこう説明した。
図1はDXを推進する視点でも非常に重要なポイントになる。それは、DXの取り組みにはこうしたエコシステム作りが欠かせないからだ。この点は、また後ほど説明する。
記者会見では時田氏に続いて、2020年4月1日付でRidgelinezの社長に就任する今井俊哉氏(PwCコンサルティングから移籍)が、同社の取り組みについて説明した。
今井氏は企業のDXの取り組みにおける課題について、次の3つを挙げた。
1つ目は、DXそのものが目的になってしまい、DXによって何をやりたいかという戦略が希薄なこと。2つ目は、デジタルという言葉に引っ張られてしまい、最新技術を採用することに注力してしまいがちなこと。3つ目は、2つ目と逆に最初に描くコンセプトで理想を追い求めすぎ、実装段階で技術的なギャップが生じることだ。
同氏は3つ目の課題について、特に「実装して早く成果を出すことが大事。さらに言えば、実装しても成果に結び付かないことがよくあるので、繰り返しトライして経験値を高めている企業が、市場競争力を強めていける」と説明した。この見解もDX推進においてチェックすべきポイントだ。
関連記事
- 「Weekly Memo」記事一覧
- 「DXで競争優位を実現する企業」はわずか13.2% 日本企業の現在地点
1000人以上の従業員を抱える日本企業への調査から、デジタルトランスフォーメーション(DX)では投資対効果の評価に苦慮する企業が多いことが判明しました。併せてDXで財務的な貢献、競争優位を実現している企業はどの段階にいるのかも明らかになりました。 - 富士通グループで“もう1つのDX推進会社”が本格始動――富士通マーケティング広瀬社長に聞く
富士通グループの中堅中小企業向け事業を担う富士通マーケティング(FJM)が、DX支援に向けて本格的に動き出した。富士通本社も2020年1月にDX新会社の設立を表明しているが、FJMはグループの中で“もう1つのDX推進会社”としての役割を担う構えだ。その思いと戦略とは? - DXに「出島」は必要か?――NECと富士通の違いに見るDX組織設立の勘所
NECがDX事業の強化に乗り出した。最新技術の提供形態を示したデジタル基盤を整備するとともに、顧客企業のDXを支援する組織を新設。その組織の在り方で、競合する富士通との違いが浮き彫りになった。 - 富士通SSL、DX支援を強化 DXデザインや顧客獲得支援も――ソリューション群「PoweredSolution」を刷新
富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ(富士通SSL)は、自社ソリューション群「PoweredSolution」を刷新し、5カテゴリーで製品・サービスを提供する。デジタルトランスフォーメーション(DX)デザインの共創や、顧客エンゲージメントの獲得支援、データ活用支援など、DX推進支援策を強化した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.