トランスフォーメーションをデザインせよ――富士通の新会社にみるDX推進の勘所:Weekly Memo(2/2 ページ)
DXにどう取り組めばよいのか――。多くの企業が抱えるこの課題に対し、富士通が2020年4月1日に事業を始めるDX新会社の取り組みから、同じくDXを推進する視点で参考になりそうなポイントを探ってみたい。
立ち位置はサプライサイドでなくデマンドサイド
では、こうした課題を解消するためには、どうすればよいのか。今井氏はDXの取り組みにおいて最も必要なのは、「トランスフォーメーションをデザインすることだ」と強調した。そのために重要な取り組みとなるのが、図2に示した「ビジネストランスフォーメーション」「バリュードリブン」「エグゼキューションイニシアチブ」の3つである。
ビジネストランスフォーメーションは、DXはすなわちビジネスのトランスフォーメーションであることから、企業が目指す姿を体現するビジネスモデルを再定義する必要があるということだ。
バリュードリブンは、やりたいことがいろいろある中で、顧客と社会の価値創造に軸足を置いた優先順位付けをすることである。
エグゼキューションイニシアチブは、実装と成果を常に追求する実践志向であることだ。
その上で、今井氏はRidgelinezの代名詞を「トランスフォーメーションデザインファーム」とし、「Transformation Design for Alternative Futures」(未来を変える、変革を創る。)をビジョンとして掲げた。
さらに、このビジョンの実現に向けて、同氏が示したのが図3である。図の見方は、左から右へ6つ並んでいるボールの絵が「戦略策定」から「エコシステム構築・運用」へと移行するDX推進のステップを示している。Ridgelinezはこれら全てのステップを手掛けることを目指す。一方で下段に記されているような他のコンサルティングファームやITサービスベンダー、ソリューションベンダー、グローバルプラットフォーム企業などとも幅広くパートナーアライアンスを結んでいく構えだ。
さて、DXを推進する視点で最大のポイントとして挙げておきたいのは、今井氏が強調した「トランスフォーメーションをデザインすること」である。そのために重要な3つの取り組みを挙げたが、実はそれぞれがその前に記した3つの課題に対応した内容となっている。これら3つの取り組みを自社の状況を踏まえてどう落とし込んでいくかが重要となる。
また図3の内容でDXのステップも参考材料だが、この図で説明を加えておきたいのは、ステップの最後となるエコシステム構築、運用はすなわち図1を示しているということだ。あらためて、DXの取り組みにおいてはエコシステムの構築・運用が不可欠なのである。
最後に、今井氏はこう強調した。
「Ridgelinezはサプライサイドではなく、デマンドサイド、すなわちお客さまのサイドに立って最適なソリューションを提供していく。その立ち位置に徹底してこだわりたい」(今井氏)
DXを推進する「基本姿勢」として、この発言もチェックすべきポイントとして挙げておきたい。
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