アフターコロナの経営に必須 マネジメント視点でみた「在宅勤務」の生かし方とは:Weekly Memo(1/2 ページ)
新型コロナウイルスの感染対策で、テレワークによる在宅勤務が広がっている。企業としてはこの動きを経営に生かしていきたいところだ。在宅勤務をマネジメントの視点で考察してみたい。
PwCコンサルティングが説く「在宅勤務ガイダンス」とは
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策で、テレワークによる在宅勤務が広がっている。当初は追われるように導入した企業も、これからは在宅勤務を効果的に実施するマネジメント体制へと移行していく必要がある。ということで、今回は、マネジメント視点でみた在宅勤務の生かし方を考察してみたい。
まずは、PwCコンサルティングが2020年5月14日に発表した「企業の生産性を向上させ、多様で柔軟な働き方を実現するための在宅勤務ガイダンス」と題したレポートから、在宅勤務のマネジメントにおける要点を挙げてみよう。このレポートの内容は表のように9項目からなる。全てが示唆に富んだ内容だが、ここでは、3番目の「在宅勤務のメリット」と、6番目の「部下のマネジメント」に注目したい。
在宅勤務のメリットをここで取り上げたのは、経営サイドにとって重要なポイントだからだ。PwCコンサルティングのレポートでは、「優秀な人材の確保」「コストの削減」「生産性・効率性の向上」「災害やパンデミック(感染症の世界的大流行)時の事業継続性」を挙げている。マネジメント視点では少なくともこの4つを視野に入れておきたいところだ。
部下のマネジメントについては、在宅勤務を導入すると、従来のフェイストゥーフェイスのコミュニケーション形態と異なり、音声や文字だけのコミュニケーションが増加する。また、オフィスに出勤する場合に比べて、部下の業務状況を把握しづらくなる。そのため、次の3つに注意して在宅勤務を進める必要があるという。
1つ目は、「部下への権限移譲」だ。在宅勤務においては、指示型や命令型のコミュニケーションではなく、部下を信頼し権限を移譲する必要がある。また、業務の計画段階で、上司と部下の双方が業務内容や目的、完了期限、期待される成果、評価の観点について、オフィスで勤務するとき以上に精度高く合意しておくことが重要だ。その合意に基づいて、上司は部下からの定期的な報告を通して部下の業務状況を把握し、成果物の進捗(しんちょく)状況を管理し、適切なフィードバックを与えられる。
2つ目は、「会議運営」だ。音声や文字だけのコミュニケーションを主体とした会議では、自分の意見や他の参加者に対しての明確なリアクションを提示する必要がある。ファシリテーションする側も意識的に質問や参加者への問いかけが必要になる。
3つ目は、「評価」だ。部下の業務状況が見えないため、勤務時間や勤続年数の長さや保有能力を評価するシステムから、目標管理や業績評価といった成果主義重視の評価システムへの移行や適切な運用が望まれる。
とりわけ、1つ目と3つ目は部下の仕事へのモチベーションに直結する。在宅勤務の仕組みを検討する以前に、上司と部下の間にしっかりとした信頼関係はあるか。ここは経営サイドが在宅勤務制度を整える上で1つの勘所である。
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