AWSやMicrosoftを追撃、Google Cloudは企業のIT基盤として広がるか:Weekly Memo(1/2 ページ)
コロナ禍でパブリッククラウドへの企業ニーズが高まる中、その基盤サービス市場の勢力争いでは、先行するAWSとMicrosoft AzureをGCPが追撃するという構図だ。GCPが日本企業へさらに普及拡大していく決め手は何か。Google Cloud日本法人が開いたイベントから考察してみた。
企業におけるニューノーマルへの3つの段階とは
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として、企業が事業継続に向けて柔軟なIT利用環境を確保しようとパブリッククラウドを採用する動きが活発化している。その基盤サービス市場で、グローバルでも日本でも激しい勢力争いを繰り広げているのが、「Amazon Web Services(以下、AWS)」「Microsoft Azure(以下、Azure)」「Google Cloud Platform(以下、GCP)」の3つだ。
ただ、日本市場に限って見れば、先行するAWSとAzureをGCPが追撃するといった構図だ。GCPが日本企業へさらに普及拡大していく決め手は何か。Google Cloud日本法人のグーグル・クラウド・ジャパンが2020年6月9〜11日にオンライン形式で開催したプライベートカンファレンス「Google Cloud Day:Digital」の初日の基調講演とその後の記者会見の内容から考察してみた。
まず、書きとめておきたいのは、グーグル・クラウド・ジャパン代表の平手智行氏が講演および会見で語った「企業におけるニューノーマル(新常態)への3つの段階」だ。その内容は、いわゆる“コロナ禍”にあって多くの顧客から聞いた声をまとめたものだという。
第1段階は、短期的な「緊急対応フェーズ」だ。まずは従業員の安心、安全、そして事業の継続性を確保するため、しっかりしたテレワーク環境を整備する段階である。
第2段階は、中期的な「収束フェーズ」だ。新しい働き方や生活様式が始まる中で、ITも含めたビジネス全体のコスト構造を見直しながら、事業継続を図っていくための取り組みを行う段階である。
第3段階は、長期的な「ニューノーマルへの適応・変革」だ。COVID-19によってもたらされた変化を理解し、受け入れ、長期的な視点に立って新しいビジネスを開拓していく段階である。(図1)
平手氏はその上で、「Google Cloudはこれらのどの段階においても、お客さまのビジネスの成長を支えて常に寄り添うパートナーとして最適なソリューションをお届けしていきたいと考えている」と強調した。この3つの段階は、ニューノーマルを見据えた今後の取り組みとして、どの企業にとっても参考になるだろう。
基調講演ではこのほか、ビデオ会議「Google Meet」、マルチクラウド基盤「Anthos」、Dockerコンテナをサーバレスで実行するサービス「Cloud Run」、VMware環境をクラウドへ移行する「Google Cloud VMware Engine」、Oracleデータベースをクラウドへ移行する「Oracle on Bare Metal Solution」、そしてGoogleが得意とするAIサービス群やデータ分析などのソリューションにおける最新動向が紹介された。
そうした中で、GCPが日本企業へさらに普及拡大していく決め手として筆者が最も注目したのは、パートナーエコシステムの広がりである。
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