パートナー施策にユーザー視点はあるか? SAPにみるDXの協創「デジタルエコシステム」の進化と課題:Weekly Memo(1/2 ページ)
SAPジャパンがDXビジネスの推進に向けてパートナーやユーザー企業との協創による「デジタルエコシステム」に注力している。その進化と課題について考察したい。
「デジタルエコシステム」で3つの戦略を展開
SAPジャパンが2020年9月30日、顧客のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するSIビジネスに向け、パートナーやユーザー企業との協創を軸に展開する「デジタルエコシステム」の最新状況について、オンライン形式で記者説明会を開いた。
同社ならではのDXビジネス推進形態の話だが、その内容はDXを協創の形で進めようとしている企業にとっても参考になるところがあると思うので、図を交えながら紹介したい。なお、協創は「共創」とも記されるが、SAPジャパンはかねて協創と表記しているので、本稿ではそれを尊重する。
同社は2020年の事業戦略として、SAPがグローバルで掲げるエンタープライズITの将来像「インテリジェントエンタープライズ」の実現に向けて、図1に示すように5つの重点領域を挙げている。デジタルエコシステムはそのうちの1つだ。デジタルエコシステムの領域では「導入/販売パートナー企業への支援強化」「補完するソリューションの拡充」「イノベーションエコシステムの構築」の3つに注力する。
それらの最新状況について、SAPジャパンがデジタルエコシステム事業を立ち上げた2017年からけん引してきた大我 猛氏(常務執行役員 チーフ・トランスフォーメーション・オフィサー兼デジタルエコシステム事業担当)が次のように説明した。
1つ目の導入/販売パートナー企業への支援強化では、「パートナーサクセスプログラム」を拡充だ。図2に示すように、事業計画/人材採用から営業活動、研修、実践型ワークショップ、プロジェクトまでの活動を一貫して支援できるようにした。言い換えれば、これがパートナー施策に求められる要素だ。
パートナー企業内のSAP認定コンサルタント数は2020年8月時点で約1万8000人と、2年半で倍増させた。また、国内のパートナー数も353社と、2年半前と比べて約1.5倍に拡大した。大我氏によると、認定コンサルタントは2020年に入ってから伸び率が一段と高まっており、パートナーおよびユーザー企業のSAPへの期待を強く感じるという。
パートナー施策向上へ SAPが注力するポイントは
関連記事
- 「Weekly Memo」記事一覧
- SAPの新CEOが説く「これからのエンタープライズIT」
SAPの新CEOが自社イベントで「これからのエンタープライズIT」について語った。ERP最大手の同社がDXビジネスの展開へ向けたビジョンでもある。SAPの戦略を通じて、エンタープライズITの今後について考察したい。 - SAPの新CEOが説く「これからのエンタープライズIT」
SAPの新CEOが自社イベントで「これからのエンタープライズIT」について語った。ERP最大手の同社がDXビジネスの展開へ向けたビジョンでもある。SAPの戦略を通じて、エンタープライズITの今後について考察したい。 - SAPジャパンの事業戦略会見にみる「ITからDX時代への変化」と「ERPサポート延長の背景」
SAPジャパンが先頃、2020年のビジネス戦略に関する記者会見を開いた。4月1日付での交代を発表済みの現社長と次期社長がそろって登壇し、社長交代会見の場にもなった。今後の戦略と両氏の話から、ITからDX時代への変化を探ってみたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.