GAFAに負けるな、DX企業を目指す富士通の研究開発の注力分野とは:Weekly Memo(1/2 ページ)
「IT企業からDX企業への変革」を目指す富士通。研究開発においてはどの分野に注力していくのか。その取り組みからDXに求められるテクノロジーとともに、富士通の研究開発の行方を探ってみたい。
DX企業を目指す富士通が挙げた「7つの重点テクノロジー」
富士通が2020年10月13日、研究開発の戦略についてオンライン形式で記者説明会を開いた。現在「IT企業からDX(デジタルトランスフォーメーション)企業への変革」を進める同社は、研究開発もDXを見据えた分野が対象になる。その取り組みから、DXに求められるテクノロジーとともに、富士通の研究開発の行方を探ってみたい。
会見では、富士通の古田英範氏(代表取締役副社長 CTO(最高技術責任者) 兼 富士通研究所 取締役会長)と、富士通研究所の原裕貴氏(代表取締役社長)が説明に立った。
図1に示したのが、富士通が今、研究開発に注力している「7つの重点テクノロジー」である。これは、同社がDX企業になる上で重要なテクノロジーとしてピックアップしたものである。
ただし、これら7つはこれまでもDXに求められるテクノロジーとして見られてきており、分野自体に目新しさはない。同社がこだわっているのは、図の中央に描かれているリングの意味である。
古田氏はその意味について「DXにおいては個々のテクノロジーもさることながら、それらを組み合わせて新しい価値を生み、それを広く活用できるようにしていくことが求められている」と説明した。同氏は「組み合わせ」と表現したが、これはインテグレーションともいえる。この点を強調するところに、国内最大手SIerとしてのこだわりが感じられた。
図2は7つのテクノロジーそれぞれにおいて、富士通が注力している領域を示している。このうちの「Computing(コンピューティング)」と「AI」について、図を示しながら要点を記しておこう。
図3はComputingについて示したものだ。2020年6月にスーパーコンピュータ性能ランキングで世界1位になった「富岳」や量子コンピュータが挙がっている。とくに右端に記されている「汎用型」の量子コンピュータについて、同社が研究開発の取り組み内容を公開したのはこれが初めてだ。用途特化型の量子コンピュータである「デジタルアニーラ」による中分子創薬共同研究の動きと合わせて、今回新たに発表された。
図4はAIについて示したものだ。古田氏は「当社ではどこもまだ実現していない『説明可能なAI』をゲノム医療の判断の短縮化に適用しているところだ」と話す。AIが専門の原氏も「AIは今後さらに倫理観や透明性を備え、信頼性の高い分析によって社会課題を解決していく」と、意欲を示していた。
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