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東芝が「量子暗号通信」の順次事業化を発表 「量子鍵配送サービス」市場に参入
東芝は、「量子暗号通信」の実用化に向け、国内外での量子暗号通信システム事業を2020年度第4四半期から開始する。2025年度までに、金融機関などに向けた「量子鍵配送サービス」を開始し、2030年度には同市場の世界シェア25%を目指す。
東芝は2020年10月19日、理論上盗聴が不可能とされる次世代の暗号通信技術「量子暗号通信(Quantum Key Distribution:QKD)」を2020年度第4四半期(2021年1〜3月期)から事業化すると発表した。国内外で「量子暗号通信システム」のプラットフォーム提供とシステムインテグレーション事業を順次開始する。
量子暗号通信は、「光子(光の粒子)」の量子力学的な性質を利用して、データ通信の安全を担保する技術。機密データを保護するための暗号化/復号に用いる「鍵」を光ファイバー回線上で光子に乗せて伝送する。測定されると状態が変化するという光子の量子力学的な性質を利用し、第三者による鍵の盗聴を確実に検知できるという。
量子暗号通信の導入により、盗聴や改ざんといったサイバー攻撃の脅威からデータ通信基盤を保護し、データの安全な利用や保存が可能になる。将来的には、医療分野、公共機関向けの個人情報通信、金融機関向けの銀行ネットワークセキュリティなどへの適用が期待されている。
東芝が目指す国内外での量子暗号通信システム事業展開とは
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